logo

メタップスは「下げトレンドが得意」--新体制後初の独占インタビュー - (page 2)

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2018年12月30日 08時00分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

メタップスがコンシューマ事業を手がける理由

——佐藤さんが担当されているB2C領域についても聞かせてください。そもそも、なぜB2B中心だったメタップスがB2C領域にも進出したのでしょうか。

佐藤氏 : B2B事業をやっていて思ったのが、スケールではB2Cには敵わない、ということでした。うまくいけばB2Bに比べて数百倍、数千倍の売上になります。

 会社を大きくするうえで、IT企業においては2つしか勝ちパターンがないと思っていて、1つは自分より大きい会社を(買収で)飲み込むパターン、もう1つはC向けの製品が大ヒットするパターンです。B2Bはすごく安定するんですけど、そこから売上が百倍、千倍になるかというと、そうではないなというのが正直な感想です。そこで、B2Bの安定した土台がありながら、C向けの大ヒットを狙わない限り企業として大きくなれないと考えたんです。

——専門家の時間を売買できるアプリ「タイムバンク」の利用状況はいかがでしょうか。

佐藤氏 : (2017年9月にリリースし)この1年間は芸能事務所、プロダクションとのつながりを強めていました。タイムバンクは他社のサービスと比較されることもあるんですが、私たちとしては特に人間にこだわっていなくて、サービスのAmazonみたいなものを目指したいなと思っているんです。あらゆるサービスは今後オンラインで決済されて、オンラインで予約されていくことになるでしょう。専門家だけでなく、サービス業全般、駐車場も、会議室も、ベビーシッターも扱うコマースというのをやりたいんですよね。

時間を売買できるアプリ「タイムバンク」
時間を売買できるアプリ「タイムバンク」

——続けて、2018年3月には送金アプリ「pring(プリン)」をリリースしました。IT各社が決済領域に本格参入している現状をどう見ていますか。

佐藤氏 : LINE、楽天、ヤフーなどの大きなプレーヤーは独自に決済サービスを提供したいのだろうと思います。一方で地銀などの金融機関、小売店など、自力で決済サービスを立ち上げるのが難しい企業も決済サービスをやりたいという気持ちがあると思うので、そこに対してpringのようなサービスが入り込める余地はあるのかなと思います。市場規模は数十兆円規模なので、いずれにしてもどこかの1社が独占するのは難しいでしょう。

お金コミュニケーションアプリ「pring」
お金コミュニケーションアプリ「pring」

—タイムバンクとpring、この2つのサービスに勝算はありそうでしょうか。

佐藤氏 : まだわからないですね。B2Cはかなり踏み込まないといけない。消費者はシビアですから、相当いい製品を、赤字を生み出しながら何年か我慢して続けないとならない。そういう体制が我々にはまだあまりないので、我慢してやってみようかなと思っています。

 将来的にはC向けの事業体に変えていきたい気持ちもあります。いずれ、LINEやメルカリのような企業と競争していく可能性もあると考えたら、今のうちからC向けの事業をやっておかないとなりませんね。pringには風がきているので、このタイミングでどれだけ突っ込めるか次第ですね。

佐藤会長が考える「お金」の価値

——佐藤さんは「お金2.0」という書籍を執筆するなど、お金や経済についての新たな価値感や生き方について積極的に情報を発信しています。この数年はFinTechプレーヤーも急増し、消費者のなかでも「お金の価値観」が変わってきているのではないでしょうか。

佐藤氏 : 暗号通貨の登場が一番大きかったですよね。すさまじいモメンタムというか、久しぶりにザ・バブルだなと思いました。ただ、土台の技術はあまり変わっていなくて、今回の値動きについては「儲かるぞ」と考えて入って来た人たちが損しているだけ。過剰に期待が集まって、投機のために始めた人が損するのはいつもの流れなので、長期的には価格の低下は暗号通貨普及の阻害要因にはならないのでは、と思います。

 このほかでは、QR決済などのペイメント領域については、消費者は「便利なものが出たなあ」というくらいで、価値観としてはあまり変わらなかったと思うんですが、普通に政策として進むでしょうから、今後3〜4年で当たり前に使われるようになると思います。また、ブロックチェーンや暗号通貨は、IT以外の人たちがメインのホルダーになってきています。その意味で、「お金ってどういうものなんだっけ」と考えるきっかけにはなったんじゃないかなと思います。

メタップス代表取締役会長の佐藤航陽氏
メタップス代表取締役会長の佐藤航陽氏

——2017年から2018年にかけては、上場企業として初めて子会社でICOを実施して資金調達し、その会計処理についても話題になりました。

佐藤氏 : 我々としては、上場企業の傘下企業として世界で初めてICOにおける会計処理の方法を決めたということで、それをブランディングに使っています。実際、ICOの代行事業は韓国を中心にいくつか案件が進んでいるところです。自分たちがICOしたことによって、ICOのコンサルティングという面で他には真似できない体制になっていると言えますね。

 日本では今はICOのルール作りを検討しているところで、まだできません。2019年のどこかのタイミングでできるようになるんじゃないかと考えています。個人的には、2019年6月にG20があるので、そこでいろいろなルールが決まるのではないかと思っています。

 一方で、海外、シンガポールや香港は規制がないのでICOは可能です。ただ、暗号通貨の価格が下がっているところなので、調達額を大きくしにくいためにやりたい人が減っています。会計処理の方法も具体的に決まっておらず踏みとどまっている会社も多いのですが、少しずつ整備されていくことで需要は出てくるのではないでしょうか。

 私としてはステーブルコインみたいに、今後はきちんとトークンの裏付けがある物がメインになっていくんじゃないかと思っています。株と連動したICOが主力になって、おそらくトークンと株が混ざっていくんじゃないかなと思いますね。トークンと株のいいとこ取りをした仕組みでファイナンスしていく人たちが増えるんじゃないかと思います。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]