ショッピング、メイク、ファッションなど、女性の関心が高いテーマを中心に、約1分間で見られるスマホ向けの“縦型動画”を発信する「C CHANNEL(シーチャンネル)」。女性向け動画メディアと連携するECサービス「C CHANNEL Shopping」や、ユーザー向けの大規模イベントなど、多角的な展開をし続けるC Channelは、元LINE社長の森川亮氏が2015年4月に創業した企業だ。
C CHANNELに加えて、動画子育て応援メディア「mama+(ママタス)」や、未来のスターを応援するオーディションアプリ「mysta(マイスタ)」など、さまざまな新規事業を立ち上げ、ビジネスを拡大し続ける秘訣を同氏に聞いた。
——まずは、動画メディア「C CHANNEL」の現状を教えてください。
2015年の春にサービスを開始しましたが、最初の半年間は“動画のInstagram”的なコンセプトで提供していました。ただ、当時は動画投稿のハードルが高かったため、そこから分散型メディアに舵を切りました。料理やアレンジ、ヘアメイクの動画を自社で制作するようになってからC CHANNELの成長が始まります。翌年2016年春から台湾やタイなどを中心に海外展開を開始し、2016年末には数億回の再生回数と、数カ所の海外拠点の設立を実現しました。
2017年には動画ECを強化し、インフルエンサーと連動したECやTVショッピングに近い事業に注力しつつ、弊社に所属するインフルエンサーの育成を強化しました。直近ですと元美容部員の「和田さん。」というビューティーインフルエンサーにも参加していただいているほか、Instagramで124万人のフォロワーを有する「テリちゃん」とは独占契約を結んでいます。C CHANNELと連携して組んでいただける方々のおかげで、広告の売り上げも成長しました。ネイティブアドとタイアップ広告がベースにあり、それらと連動するECが成長しています。
その上でママ向けのメディアのmama+や、mystaというタレントオーディションアプリにもチャレンジしています。直近の変化では、中国の越境EC企業がグループに加わり、11月11日の「独身の日」には売り上げも大幅に伸びました。
——国内外のユーザー比率はいかがでしょうか。また、サービス開始から3年が経ちましたが、ユーザー層や利用傾向に変化は見られますか。
(日本と海外が)半々でしょうか。フォロワー数の合計ですから重複もあるでしょうね。単純なリーチで見れば海外のユーザーが増えてきました。C CHANNELに関しては若い女性に特化し、圧倒的にリーチが高く、商品開発からECからイベントまで展開できるのは大きな価値だと考えています。
ユーザーはやはり若い方が多いと思います。僕たちの調査ですとiPhone世代より上は写真が好きで、その下の世代は動画を好みます。YouTubeもInstagramも若い方が動画をご覧になり、メイクアップ動画は小中学生が投稿するケースもありました。(自身の時代と比べて)ずいぶん変わったなと感じます。
僕らはF1層(20〜34歳までの女性)をターゲットにしていますが、F1層でも前半が増えています。国によって異なりますが、東南アジアですともう少し若く、台湾だと少し上といったバラツキはあります。
——近年は、TikTokやInstagramの勢いが増し、動画サービスの勢力図にも変化が起きています。C CHANNELはどのポジションに位置しますか。
女性向けメディアとしては、10〜20代でナンバーワンの評価をいただいています。ここからは収益を強化するフェーズだと考えています。単純に女性メディア、動画メディアというくくりではなく、イベント開催やインフルエンサーマーケティングも手掛け、売り上げにつながる施策が見えてきたのが現状ですね。クライアントの皆さんにも安心して使っていただけるメディアに成長しました。
一方でユーザーの皆さんには、最初に動画を見てもC CHANNELという認識がない状態からファンになっていただき、直近ですと10月に大型イベント「Super! C CHANNEL」を開催しています。プロモーションはさほど行わずに、1万人が集まりました。C CHANNELのファンが増えている手応えを感じます。ただ、この上のステージとなるmama+やmystaは新たなチャレンジですね。
ユーザー層を分析してみると、他社のユーザーは割と年配層が多いものの、われわれは半分が若い女性です。現在はイケメン領域に注力しており、そこへ女性の参加をうながしてきました。また、K-Popに強いCJと提携したので、K-Pop系の強化も他社にはない価値と言えるでしょう。今後は韓国でのサービスも準備中です。C CHANNELはグローバルに人が活躍できるプラットフォームを目指します。
——では、ここからは「新規事業」をテーマに聞いていきます。御社にとって新規事業はどのような位置付けになりますか。たとえば、4月に発表したmystaはどのように生まれたのでしょうか。
メディアのモバイル化が進み、動画に移行する世界は想像していました。いま企業が一方的にメッセージを発信する部分が「人中心」に変化しています。今回のmystaでは、ダンサーやボーカリスト、お笑い芸人といったクリエイターをターゲットにしました。新しい発信の場、活躍できるプラットフォームをイメージしています。
もともと、C CHANNEL内で広告以外のビジネスモデルが必要だと社内でも話してきました。その流れでECにつながりますが、課金手法を考えると一般的にはコンテンツ課金となります。しかし、若い女性は「そこまでお金を使わないだろう」と思い、海外市場などを俯瞰した結果、投げ銭モデルに可能性があるのではと思いました。
そこで(1)「#イケメン」、(2)ウェブ漫画などで増えている「待てば0円」の動画版、(3)mystaのランキングで応援する、の3パターンに取り組みました。その結果、人を応援するコンテンツに人気が集まりましたが、それでは課金にはつながりません。そこで、応援を切り出してアイドルならうまくいくのではと考えたのがアイデアのきっかけです。ただ、弊社単体では厳しいためパートナーが必要でした。そのため別会社を今春に立ち上げたのです。
mystaはあくまでもお題があり、歌やダンスなど技術を軸に応援するサービスです。可愛ければいいのではなく技術も必要です。最終的には専門家の審査も加わりますので、オーディションの軸はぶれずにやっていきます。彼ら、彼女らがテレビに出たいという熱意は2パターンに分かれると思います。1つはネット上で承認欲求を満たしつつ稼ぎたいという方。もう1つはもともと芸能界に興味を持ち、事務所に所属して舞台や映画に出演したいもののチャンスがない方。当初は後者が多く、歌やダンスがうまい方が登場し、そこに一般の方が巻き込まれている形です。
——mystaの立ち上げやビジネスの中心にいるのは森川さんですか。
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