プライバシーにかかわる機能はグローバルな設計をしています。世界の全ユーザーにとってメリットがあるものにする必要があるからです。そのため、個別の国ごとのコメントはしないようにしていますが、ひとつ学んだことは、どの国であっても「こうだろう」という決めつけをしてはならないということです。東京でもベルリンでも、その国のユーザーが使いやすく、設定したい状態にできることが重要となります。
——ITリテラシーの低いユーザーへの対応は考えていますか。大部分のユーザーは設定が自分で可能であっても、本音として、データを預けるから企業がしっかり管理してほしいと思っているのではないでしょうか。企業が提供する機能とユーザーの間にギャップがあるように思います。
さきほどのモバイルユーザー向けの工夫はその対応のひとつです。明確にしたいのは、我々にはユーザーのセキュリティを守る責任があるということです。データが、デスクトップからクラウドへ移行したことにより、これまで大企業やグローバル企業しか利用できなかった高度なセキュリティ機能や保護ツールが、個人レベルでも利用できるのです。
また、原則として、利用する情報について個人を特定して使うことはありません。広告についても同様です。現在、世界中でプライバシー保護の気運が高まっており、ユーザーの意識も変わってきているのを感じています。企業はユーザーの情報について責任を持つべきです。
グーグルでは、世界中の規制当局、法執行機関、政策担当者と建設的な議論を重ね、協力することで、社会的な要請にも応えるサービスを目指しています。
——広告モデルはマネタイズのためにユーザーの情報を利用する側面があります。製品の製造販売をコアとするエコシステムを持つアップルは、広告モデルを否定するような発言をしています。この点についてグーグルはどう考えていますか。
最初に創業のミッションとして、世界の情報を整理し、誰でもアクセスできるようにするといいました。グーグルはテクノロジーの価値をユーザーに届けるというコミットメントをしています。
その成果として、検索、メール、カレンダーなどのユーザーに価値を提供するツールをほぼゼロコストで使えるようにしたというプライドがあります。また、グーグルのツールやサービスによって質の高いコンテンツも生まれています。それを可能にしているのが広告モデルだと考えています。
繰り返しになりますが、グーグルはユーザーを特定するような情報を広告主や他の企業に直接提供するようなビジネスはしていません。もちろんユーザーは広告のターゲティングを外すこともできます。
インタビューを終えて印象的だったのは、Google+の終了について「このようなサービスの維持は投資にみあわない」という主旨にとれるエンライト氏のコメントだ。
企業の一部は、現在もビッグデータで新たなビジネスを考えていたり、政府の施策や行動計画にも、「情報銀行」をはじめ類似の言葉が並ぶ。個人情報やプライバシー情報を取得・管理する責任とコストに対する認識が、グーグルとは違うようにも見える。
さらに、Google+の問題は、内部の安全性評価プロジェクトで大きな被害が発生する前に発見されている点も注目したい。脆弱性診断を実施する企業が増えているが、その情報を経営の意思決定につなげている企業がどれだけいるだろうか。
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