3年後はスマホで賃貸契約?--ReTechがリードする不動産業界の変革

 11月7日、東京・港区のベルサール御成門駅前において、不動産業界向けのイベント「テクノロジで変革する不動産業界の最前線~Real Estate Tech 2018~」が開催された。不動産業界は、あまりITやデジタルといったテクノロジ活用が進んでいない業界だが、最近は最新のデジタルを活用したビジネス支援やサービスを提供するITベンチャーが頭角を現し、不動産業界周辺で「不動産テック」や「ReTech(Real Estate Tech)」というワードをひんぱんに耳にするようになった。また、10月には「IT重説」(ITを活用した重要事項説明)の本格運用がスタートするなど、徐々にデジタル活用が始まっている。

 そのような背景のなかで、Real Estate Tech 2018にオンライン内見、VR内見、IT重説、ウェブ申込、電子契約などの実績あるプレイヤー達が集結し、最新テクノロジの導入事例や将来の方向性について議論した。

中国最先端企業に学ぶ、不動産業界のテクノロジ化

 イベントは、主催者であるハウスコム代表取締役社長執行役員の田村穂(けい)氏による開催のあいさつからスタートした。

ハウスコム 代表取締役社長執行役員の田村穂氏
ハウスコム 代表取締役社長執行役員の田村穂氏

 田村氏は、この夏に視察してきた中国の大企業のテクノロジ活用事情を紹介。まず、百度(バイドゥ)で自動運転を視察、「単にハンドルやアクセルがなくなるという話ではなく、都市の概念、環境が変わるのではないか。ほかの地下鉄や駐車場というインフラも含め、単にA地点からB地点に移動するだけでなく、すべての移動に関する概念を変えるだろう」との見解を示した。

リアルとバーチャルが融合する中国の最新型店舗を紹介する田村氏
リアルとバーチャルが融合する中国の最新型店舗を紹介する田村氏

 次は、アリババが展開する実店舗の盒馬鮮生(フーマ)。フーマは、リアルとバーチャルの融合を意識して開始した無人レジスーパーで、売り場でお客が商品にスマホをかざすとバーコードを読み込み、情報が表示される。購入するとスタッフが来てピッキングし、専用のベルトコンベアで集荷してそのまま購入者の自宅まで配送する。

 そして田村氏が着目したのは「新鮮な食材をそのまま調理してくれるスペースもある」という部分。これにより「人の暮らしのサイクルが変わるのではないか。ネットでも店舗でも買えて、調理して届けてもくれる」。結果として「夕食が変わる、食事が変わる、働き方が変わる。リアルとバーチャルが融合し、生活様式が変化する」と、テクノロジの普及がもたらす変化の様子を説明した。

 そして足元を振り返り、「我々不動産業界でも、住空間、住む空間という定義が変わっている」ことをアピール。「今は外に仕事があり、家は帰って寝る空間だが、テレワークが普及すれば住んでいるところが職場になる。医療分野でも、病院に行かずともある程度のことはネットでやり取りできるようになり、住空間の定義が変わってしまう」と指摘した。

 最後に「不動産業界は、テクノロジで何が変わり、何を変えるべきか、問われる時がきている」と問題を提起し、メインの講演へとつなげた。

面倒な内見をVRで容易に

 続いて「Re:Tech企業が切り拓いた新しい市場とその価値」と題し、注目のReTech企業3社による講演が行われた。メンバーは、ビジネスVR最大手のナーブ代表取締役の多田英起氏、業界のプレイヤーをITでつなげるセイルボート代表取締役の西野量氏、オンライン内見のソリューションを提供しているTryell(トライエル)代表取締役社長の野田伸一郎氏で、西野氏はニューヨークからテレビ会議で参加した。

 講演は、それぞれが自社サービス紹介を含めた単独の講演をし、その後3人のトークセッションという流れで進んだ。

 

 最初に登場したのは、ビジネスVRのナーブ多田氏。「VRはスマートフォンの次のプラットフォームと言われているが、ゲームやエンターテインメント以外の使い方はほとんどされていない」中で、IT業界出身の多田氏は、不動産業界にVRの可能性を見出し、ゲームとエンタメに次ぐ活用領域として市場を開拓している。

ナーブ 代表取締役の多田英起氏
ナーブ 代表取締役の多田英起氏

 「不動産賃貸ビジネスではIT重説、電子契約が始まり、どんどん効率化されていく方向に進んでいる。その中で、特に効率化する必要があるのが内見」と多田氏はいう。「内見は、エンドユーザーも面倒くさいと感じている。不動産会社も時間をとられる」からだ。そこで開発したのが、「VR内見」だ。

 「百聞は一見に如かずで、どんなに口頭や文面で説明するよりも、バーチャルで見せたほうが一瞬で伝わる。それが我々のプラットフォームの最大の価値」という。不動産ビジネスの現場では、「天井高何メートル、何平米うんぬんと、業者はわかっていても、お客様にはわからない」やり取りがされ、伝える側と受け取る側の情報共有ができていない。VR内見により、「そこを解決したい」という。説明にかかる時間を短縮できるため、無駄な内見が減り、サービス提供側のコスト削減・業務効率化にもつながる。

 また、不動産業界の「ReTechイノベーション」のインパクトについて、「3年かかって1000店舗に導入したものが、この数カ月で5000店舗超まで急激に伸びている」という数的根拠を示した。

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