iFixit、ヘリウムガスによる「iPhone」“文鎮化”を確認--MRIのヘリウムが影響か?

 iFixitは、ヘリウムガスに晒された「iPhone」が動作不安定になったり機能しなくなったりするといわれる現象を調査し、実際に動作不良が起きることを確認した。Appleによると、動作しなくなったiPhoneでも、1週間ほど放置すればヘリウムが抜けて正常に使えるようになるそうだ。

 この調査を実施したきっかけは、イリノイ州シカゴにある病院で磁気共鳴画像診断装置(MRI)の設置作業中にiPhoneや「Apple Watch」が使えなくなった、という問題が起きたこと。病院の関係者が調べたところ、合計40台のiPhoneおよびApple Watchが不安定になったり「完全に動作停止」したりしたそうだ。Androidスマートフォンで問題の起きたものはなかった。

 MRIは、強力な磁力を発生させるため電磁石を超伝導状態に保つ必要があり、冷却用の液体ヘリウムを定期的に充填しなければならない。シカゴの病院でこのトラブルが発生した当時、約120リットルの液体ヘリウムが誤って漏れるトラブルが発生しており、気化したヘリウムガスがiPhoneに悪影響を及ぼしたと考えられる。

画像診断用のMRI(イメージ)
画像診断用のMRI(イメージ)

 iPhoneおよびApple Watchのユーザーガイドにもヘリウムガスによる影響は明記されおり、それが確認された形だ。この問題を報告した病院関係者が「iPhone 8 Plus」の入ったバッグにヘリウムガスを充満させたところ、8分20秒ほどで動作が止まったという。また、iFixitが「iPhone 8」で試したら、約4分でシャットダウンした。これほど高濃度のヘリウムガスに晒される場面は現実的でないが、特殊な環境でiPhoneを使う人は注意した方がよいだろう。

 Appleのユーザーガイドによると、ヘリウムの影響で動かなくなったデバイスは充電せず1週間ほど放置すれば復活する。放置したらiPhoneを改めて1時間ほど充電すると、正常に戻るという。

 この病院の件で興味深い点は、その場所に1台だけあった「iPhone 5」やほかのAndroidスマートフォンに影響がなく、「iPhone 6」以降のモデルが動かなくなったことだ。Apple Watchは、世代を問わずトラブルが発生していた。こうした状況からiFixitは、Appleが少し前から採用している水晶発振器の誤動作によるトラブルでないか、と考えている。

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