スマートウォッチは手首に装着して使うという前提があるため、大きく重いデザインは適さず、搭載可能なバッテリのサイズに制約が存在する。大容量バッテリの内蔵は不可能なので、使用中以外は表示を消して消費電力を抑える工夫がなされる。その結果、単純な腕時計と違い、表示を見たいときに見られないという煩わしさが生ずる。
これに対しAppleは、腕の動きに反応するスマートウォッチ向け技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間10月16日に「RAISE GESTURE DETECTION IN A DEVICE」(特許番号「US 10,101,793 B2」)として登録された。出願日は2015年7月10日、公開日は2016年1月21日(公開特許番号「US 2016/0018872 A1」)。
この特許は、装着している腕を上げるとスリープ状態から復帰するスマートウォッチに関するもの。クレーム(請求項)では、スマートウォッチに限定しておらず、手首に着けて使うウェアラブル型電子デバイスとしている。この技術を適用すれば、腕時計で時刻を見る際の動きと同じように、腕を上げて画面を見えるようにする自然な動作でスマートウォッチのスリープ状態を解除し、余計な操作をせず表示内容を確認できる。
ただし、動かすことで電子デバイスの表示を復活させる程度のアイデアに新規性はない。そこでAppleは、発明の対象をリストバンド型ウェアラブルデバイスに限定したほか、腕を上げる動作の検出メカニズムなどをクレームで細かく説明し、権利化を図ったと思われる。また、同社のスマートウォッチ「Apple Watch」には「手首検出」という機能が用意されており、腕を上げたときにスリープ解除するなどの動作を設定しておける。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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