アドビは、米ロサンゼルスにて、同社の大規模カンファレンス「Adobe MAX 2018」を開催。基調講演では、クリエイティブプラットフォーム「Adobe Creative Cloud」の次期アップデートのほか、新設計のアプリ群などが発表された。
Adobe MAXは、総勢1万4000人のクリエイターが集結する年に一度のクリエイティブカンファレンスで、新機能アップデートなどを紹介する基調講演のほか、アドビの研究所であるAdobe Researchで開発中のイノベーション技術を先行公開するMAX Sneaksなどのコーナーもあり、人気を集めているイベントだ。
本稿では、16日に披露されたAdobe Researchが開発する次世代技術を紹介するMAX Sneaksをお伝えする。Creative Cloudの次期アップデートや新アプリとして発表された、YouTubeなどSNS時代の動画編集アプリ「Adobe Premiere Rush CC」、iPad向けフルバージョン「Photoshop CC」、次世代のARプラットフォーム「Project Aero」についてはそれぞれの記事を参照してほしい。
Sneaksは、未来のアドビ製品に搭載される“かもしれない”機能を紹介するコーナー。ユーザーの反響を見て、製品への搭載が検討される。イベント2日目の最後の時間帯ということもあり、オーディエンスはみなお酒を片手に、新しい新技術に対して大いに盛り上がる“ゆるさ”が特徴だ。
個人的に最も感動したのが、1コマ目に切り抜く被写体を指定することで、どんなに複雑な背景でも、どんなに動いても指定した被写体だけをマスクできる「Project Fat Mask」だ。通常、動画で動いてる人物にマスク(切り抜き)する際、1フレームごとにマスクがずれてしまうので毎度調整する必要があり、骨の折れる作業になりがちだ。そこでAdobe Senseiが、動いたり走ったりする被写体を検知し、例えば被写体が柱に隠れてしまっても、柱だけはマスクせず、通り抜けた被写体に再びマスクが適用されるというスグレモノだ。
同じ動画分野だと、横画面で撮影した動画のうち、“美味しいところ”だけをトリミングして縦画面に最適化するのが「Project Smooth Operator」だ。横動画から縦動画にする際、これまではトリミングする箇所にキーフレームを打つなど、手作業が多かった。開発者は、Instagramなど縦画面動画のプラットフォームに向けて開発したとしており、デモでは砂漠を走る車に追随してトリミングしたほか、飼い主が犬に向けてフリスビーを投げる動画では、飼い主と犬を交互にトリミングし、フリスビーを投げるシーンや犬がキャッチする瞬間をうまくブレンドしていた。
2Dの写真に奥行きがあるような動画を生成する視差技術が「Moving Stills」だ。Adobe Senseiが写真内のオブジェクトを理解してどこを動かせばいいのかを認識。開始点と終了点を設定するだけで動画が生成されるという。また、フォトアルバムを一つのスライドショーとして作成可能。Animateというボタンを押すだけで実現できるという。
ベクターデータのイラストを簡単に修正できる「Project Good Bones」は、ベクターですでに作成してしまったキャラクターイラストの救世主といえる。イラストから骨格を自動生成し、骨格の各頂点を動かすだけで、キャラクターのポージングを修正することができる。また、アニメーションにも対応し、骨格の始点と終点を決めるだけで、その間のフレームを自動補完。GIFデータとして生成することもでき、デモではわずか1分でポージングの変更とアニメーション作成を披露した。
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