「空飛ぶ自動車」(ある種の輸送革命を引き起こすことを目指す個人用航空機)を売り込もうと試みている企業はたくさんある。そうした革命をサポートする枠組みはまだ確立されていないが、それでも、大きな支援を得たある企業は10年以内に製品を販売したいと考えているようだ。
スタートアップのOpenerは、最初の製品を2019年に発売したいと考えだという。CNBCがOpenerの技術顧問を務めるAlan Eustace氏とのインタビューを引用して報じた。同社は、Googleの共同創業者であるLarry Page氏の支援を受けている。Page氏がOpenerにどれだけ投資しているのかは不明だ。同社のFAQページには、Openerは「豊富な資金を持つ」スタートアップであり、「当面、新たな出資者を必要としていない」と書かれている。
Openerによる最初の垂直離着陸機(VTOL)「BlackFly」は、個人航空輸送の観点から見ると極めて一般的だ。BlackFlyは垂直離着陸が可能で完全電動式となっている。電気自動車のように、電源は充電可能なバッテリだ。BlackFlyは自律飛行が可能になるとOpenerは述べているが、その機能が発売時に提供されるかどうかは不明だ。ほかの航空機と同様に、BlackFlyも万一に備えて、低消費電力の滑空モードやオプションのパラシュートシステムを含む冗長性を備える。
BlackFlyが発売されればすぐに、同航空機の利用は現行の航空規制の下で大幅に制限されるだろうとCNBCは指摘する。米連邦航空局(FAA)はBlackFlyをウルトラライトと分類している。つまり、米国ではBlackFlyの操縦にパイロットの免許は不要だが、OpenerのFAQによれば、同社は操縦者にOpener独自の「習熟および操縦者訓練」のほか、FAAの自家用機パイロット筆記試験を完了することを求めているという。
BlackFlyが、渋滞した都市の交通にすぐに革命的変化をもたらすことを期待してもいけない。BlackFlyはウルトラライトであり、飛行を許可されるのは、渋滞していない場所の上空のみだ。米国での最大航続距離は25マイル(約40km)、最大飛行速度は時速62マイル(約100km)で、同じ場所を走行する自動車より多少速いかもしれないが、その差はわずかだ。米国と航空規制が異なるカナダでは、BlackFlyはより高速で、長い距離を飛行できる。
Openerのウェブサイトによると、着陸後BlackFlyを移動させるのに2つの小さなカートが必要だ。車両には身長6.5フィート(約198cm)、体重250ポンド(約113kg)までの乗客1名が乗車できる。
ゆくゆくは、Openerは個人向けVTOLを乗用車と同等に無理なく購入できる価格にしたい考えだ。だがこの価格の実現は、輸送手段に大変革をもたらすという高尚なアイデアの実現とともに、まだ遠い先のことだろう。CNBCは、地方と連邦の規制が大規模な個人向け空港輸送手段に対応するのに少なくとも5年はかかるというDeloitteの調査を引き合いに出している。
Larry Page氏はこのVTOLのみに全てを賭けているわけではない。別の個人向けVTOLを開発しているKitty Hawkにも出資している。同社は3年ほどで、商業的に実現可能なVTOLを初めてもたらしたいと考えているという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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