前述したようにさまざまな規約やルールなどはあるのだが、実際は通話できるので、連絡先を口頭で伝えることはできてしまう。もらった人は公開設定にもできるが、レターという相手にしか見えないメッセージを送ることも可能だ。また通知がいくとは言え、送った写真や動画などはスクリーンショットも撮れてしまうのだ。
同アプリを開くと、いつでも誰かが「だれ通(誰でも通話できる機能)」「だれビ(誰でもビデオ通話できる機能)」をしている状態だ。「今ひまな部員たち」とは自由にチャットもできてしまう。ある女子高生ユーザーは、「安定さん(日常的にからめる人)ほしい」「だれ通しよ」と頻繁に投稿し、実際に頻繁にだれ通をしていることが履歴からわかる。「津で誰かとデートしたいな」という投稿も頻繁にしており、警戒する様子はない。
見て回るうち、年齢未設定のユーザーが、「誰かエッチしよう」という意味のことを書いているのを見かけた。実際、アプリのレビューには「楽しい」という絶賛コメントが多い一方で、「始めてから30分で出会い厨からめっちゃメッセージがきて怖くなって消した」「たまに大人がいる。やり取りすればわかる」などのコメントもついている。
Yahoo!知恵袋で調べると、「ひま部で話した人が胸の写真を撮って送らないと家に電話すると言われたが大丈夫か」「ひま部で知り合った19歳の男性に会おうと言われたが、会っても大丈夫か」などの相談が多数投稿されている状態だ。
10代の学生たちは大人がいないサービスを利用したがる傾向にある。大人にやり取りを見られたくないと感じ、大人が入ってきたことでそのサービスがダサいと感じるからだ。ひま部やゴルスタなどの学生限定アプリが人気なのは、同世代しかいないと信じているためだろう。利害関係がからまない同世代とのやり取りができるため、はまってしまう子も少なくないようだ。
もちろん、学生同士のほのぼのとしたやり取りも多い。たとえば「物理と数学を教え合おう!」というサークルでは、問題を投稿して教え合っている姿がある。「イラスト部」では、自分のイラストを投稿したり、相手のイラストにコメントしたりするやり取りが行われている。そのような学生ユーザーたちにとっては、同アプリは楽しい居場所にほかならないだろう。
一方で、大人世代が登録できたり、通話やメッセージなどで誰とでもやり取りし放題の状況にあることは知っておくべきだ。それによって児童ポルノ被害や出会い系被害が起きていることは事実なのだ。もし子どもたちがこのようなアプリを使っていたら、前述のような被害が多数起きていること、他のユーザーに裸の写真を送ったり、直接会ったりしないことを約束させ、利用を見守るようにしてほしい。
高橋暁子
ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。
ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/
Twitter:@akiakatsuki
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