1300を超えるdirect導入企業のうちの1社が、大手ゼネコンの竹中工務店だ。まず、2017年春に完成した高層ビル「中之島フェスティバルタワー・ウエスト(大阪市北区)」の工事現場でdirectが試験導入された。現在は、本社業務はもちろん建設現場でもdirectが全面的に導入されている。
中之島フェスティバルタワー・ウエストの現場では、最盛期には1日に約1300人が働いた。うち竹中工務店の社員は約100人。それ以外の協力会社の社員といかに綿密にコミュニケーションするかは、業務上の大きな課題だ。
ここで一役買ったのがdirectだ。例えば臨時の清掃指示を出す場合、従来であれば該当箇所をデジカメで撮影し、そのデータをPCに移し替え、Wordに貼って指示書を作成。さらに印刷して関係会社へ配布していた。
これに対してdirectであれば、スマホ・タブレットの内蔵カメラで撮影を行い、その端末からdirectを使って関係会社に直接チャットで連絡できるようになった。
また、directでの工事図面共有などを徹底したことで、1日2回行っていた工事進捗会議を1回に減らした。こういった細かな改善の積み重ねにより、1人1日あたり25分の時間短縮効果が確認された。「たった25分かと思われるかもしれないが、仮に1000人の従業員全員で計算すると1日2万5000分、つまり416時間もの生産性が上がるということ」(横井氏)
賓客の宿泊先としてよく知られるリーガロイヤルホテル(大阪)でも、directは活躍中だ。従来、ルームサービスなどの指示は内線やメモ書きで行われていたが、ここをdirectに置き換えた。意思疎通の迅速化はもちろん、各種の作業指示をチャットというデジタルデータで蓄積できるようになったため、後々の作業改善分析にも効果を発揮しているという。
航空大手のANAエアポートサービスは、羽田空港国内線第2ターミナルでdirectを活用している。指令所・ターミナル担当者・整備員の3つの部署があり、それぞれ無線などで連絡していたが、口頭ゆえに言い間違い・聞き間違いが起きたり、現場対応で忙しく無線に返答できないといった問題もあった。
これらの点が、directのグループトーク機能によって改善。各部署がチャットベースで非同期にコミュニケーションできるようになったため、相手を待つ時間などが減った。ただ、指令所の担当者が複数のグループトークを同時にモニタリングしなければならないとの弊害が出たため、directでは機能改善を実施。トーク画面を複数並べ、特定キーワード検出時にアラートを出す「マルチビュー」機能を後に追加した。
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