ウェザーニューズは9月13日、NVIDIAと連携し、気象災害による被害軽減を目的に、全世界の雨の状況を高精度に可視化・予測するAIプロジェクトを開始すると発表した。
同プロジェクトにおいて、NVIDIAはGPUコンピューティングのためのハードウェア、ソフトウェアスタック、そしてそのノウハウを提供。NVIDIAのスタートアップ支援プログラムであるInceptionに参画するdAignosisは、NVIDIA DGX-1を駆使したDeep Learning技術の開発を担当。同社は、新たな気象モデルの開発と運営を行う。
なお、NVIDIAのAIプラットフォームは、高いコンピューティングパワーだけでなく、コスト削減においても同プロジェクトに大きく貢献。主に経済的な制約により、現在レーダでカバーされている地域は地球上の約17%に限られており、地球すべてをカバーするには、4000基ものレーダが必要と言われているが、DGX-1を50台用いれば、全世界の1分毎のデータをバーチャルレーダで生成できるようになり、コストは8000分の1に抑えられるという。
同社によると、気候変動の影響もあり、近年各地で気象による災害が多発しているという。特に、東南アジアなど大雨災害の多い地域では、気象観測インフラの整備や、それら技術を運用するための人材育成などの面で発展途上の過程にあり、気象状況の把握や詳細な予測が重要なテーマとなっている。
しかし、全世界の降水分布を可視化・予測するには、(1)気象観測インフラの整備や、それら技術を運用するための人材育成などの面で発展途上の過程にある国が多く、実現には莫大な費用と時間を要してしまう、(2)海上など気象レーダーの観測範囲外では雨を捉えられない、(3)既存の物理モデルをベースとした予測技術が限界に近づいているといった3つの課題があるという。
今回、同社が開始するプロジェクトでは、NVIDIAの世界最先端のAIスーパーコンピュータを活用したDeep Learning技術により、3つの課題を解決。高精度な情報を持つ日本を中心とした衛星画像と、雨雲レーダー画像を教師データとして、衛星画像をベースに雨雲レーダ画像を生成し、雨の状況を可視化・予測する。
これにより、未だ気象レーダーなど気象観測インフラの整備が進んでいないエリアや海上においても、その整備や維持管理が必要ないという。
同社ではプロジェクトの第一段階として、東南アジアを解析対象エリアとし、その後、他のエリアにも拡大していく予定。
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