駐車場予約アプリ「akippa」を運営するakippaと、名古屋発の駐車場シェアサービス「Smart Parking」やコインパーキング検索アプリ「パーキングライブラリ」を運営するシードは9月13日、駐車場シェアビジネスの拡大や進化を目的に提携したことを発表した。
akippaは、契約されていない月極駐車場や個人宅の車庫、空き家、商業施設などの空きスペースを15分単位でネット予約して駐車できるサービス。同社によれば、会員数は90万人を超え、予約駐車場サービスでは業界トップとなる2万3000の駐車場を確保しているという。Smart Parkingも駐車場シェアサービスで、名古屋を中心に1800の駐車場を利用できる。空きスペースにシードが提供するIoT端末搭載のカラーコーンである「ビーコーン」を設置することで、ノーコストで時間貸し駐車場にできる。
シードが運営するパーキングライブラリは、全国5万件以上のコインパーキングを検索できるアプリで25万ダウンロードされているという。AIで目的地周辺の駐車場の中から、距離や料金を勘案して、最適な駐車場を1〜10位までランキングづけして提案してくれる。一部の駐車場はSmart Parkingと連携しており、同アプリ内で入出庫処理や精算が可能となっている。
今回の提携では、事前予約制のakippaと即時予約ができるSmart Parkingを連携させることで、幅広い駐車場利用のニーズに応えられるようにする。具体的には大きく4つの取組みを進めていくという。
1つ目が、Smart Parkingの駐車場情報のakippaへの掲載。Smart Parkingのコーン設置駐車場の一部をakippa上に掲載し、新たに予約制を導入する。これによりakippaの駐車場掲載数が増えるほか、Smart Parkingはakippaの90万人の会員を同社の駐車場に送客できるようになる。すでにナゴヤドーム周辺のSmart Parkingの駐車場でテスト提供しており、1カ月弱で70%以上の稼働率を実現するなど効果が出ているという。
2つ目が、シードのビーコーンをOEM版としてakippaに提供し、一部のakippa駐車場に設置する。akippa駐車場でもSmart Parkingの駐車場体験を利用できるようになり、当日利用のニーズにも従来以上に対応できるようになるとしている。3つ目が、シードのコインパーキング検索アプリであるパーキングライブラリにすべてのakippa駐車場を掲載し、akippaに送客する。
4つ目が、相互代理店として営業活動先の駐車場が自社サービスで対応できない場合に、相互にオーナーを紹介しあい連携をしていくという。たとえば、Smart Parkingでビーコーン設置不可のオーナーやダイナミックプライシングを導入したいオーナーにはakippaを紹介する。逆に、リアルタイムな入出庫データを得たい平置き駐車場のオーナーにはSmart Parkingを紹介するという。
さらに、2019年内に双方のシステムを連携させ、在庫連動の実現も目指すとしている。
今回の提携は、akippaがゲート式駐車場コントロールシステム「シェアゲート」を5月に発表した際に、シードに提案したことがきっかけで実現したという。その後、7月と8月に面会し、相性がいいと判断した。「1月に私がアキレス腱を切ったときに、もっと移動を便利にするモビリティプラットフォーム構想が生まれた。実は吉川さんも1年前にアキレス腱を切っていて、同じように世の中を良くしたいと考えていたことから意気投合した(笑)」(akippa代表取締役CEOの金谷元気氏)。
提携によって、駐車場シェアビジネスを拡大した先に、両社それぞれの構想の実現を目指すという。akippaはモビリティプラットフォーム構想を掲げており、出発地から目的地までの各種ソリューションを、akippaのサービスやシステムAPI連携、データ活用などによって支えたいとしている。将来的には自動運転車と駐車場のマッチングなども検討しているそうだ。
一方のシードは、スマホなど生活に寄り添うITツールを使ったスマートシティの実現を目指している。同社は、その実現に向けて業種を超えたさまざまな企業が協力しあえるコンソーシアムをプロモートしていく予定。また、駐車場をただクルマを停める場所ではなく、さらなる付加価値を生み出す場所に変えていきたいという。
ところで、ソフトバンクやNTTドコモなど、大手企業による駐車場シェア事業への参入も活発になってきている。この動きは脅威ではないのかという質門に対し、シード代表取締役の吉川幸孝氏は「まだまだ市場ができあがっていないため参入は歓迎している」とコメント。また金谷氏は、「楽天もリクルートもこの市場から撤退した。15社ほど参入しているが、われわれはユーザーを伸ばしすでにシェア50%を獲得している。利用料0円など大規模な投資をされなければ他社は脅威ではない」と自信をみせた。
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