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目指すのはブルーオーシャン--事業をアクセラレートするセブン・ラボの真理

別井貴志 (編集部) 西中悠基 (編集部)2018年10月05日 10時00分
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 2001年に創業した、銀行業界の中では若い世代のセブン銀行。同社はこれまでに、ATMでの現金受け取りサービスや、女性客を狙った「セブンコンシェルジュ」など、数々の新サービスを世に送り出している。

 セブン銀行において、このイノベーションを推進する動きの中核にいるのが、「セブン・ラボ」だ。専務執行役員で、この組織を率いる松橋正明氏は、自らを「アクセラレータ」だと語る。イノベーションを推進し事業をアクセラレートするにはどうすればいいのか。松橋氏に話を聞いた。

事業化を加速させるアクセラレータ

――以前「CNET Japan Live 2018」で講演していただいた際に、「自分はアクセラレータだ」とおっしゃっていました。この意味を、あらためてお聞かせください。

 事業には、さまざまなスキルが必要ですよね。マーケティングやマネジメントなど、このようなスキルを全て持っている人というのは、それほど多くはないでしょう。熱意ある提案者のアイデアを実現するために、足りないスキルを補完したり、実現に近づけるために別要員をアサインするなど、事業化をフォローするのがアクセラレータです。自分自身でプロジェクトを企画するのは得意分野や数に限界があるなと以前から考えていたので、この役割を知り実行してみると全社の新規事業の提案や改善率が上がると実感できています。

セブン銀行専務執行役員で、セブン・ラボを率いる松橋正明氏
セブン銀行専務執行役員で、セブン・ラボを率いる松橋正明氏

 最近プロジェクトをスタートしたセブンコンシェルジュは、強烈な熱量を持ったメンバーをチームに加えることで、完成度を高める挑戦です。イノベーションチーム以外のメンバーをセブン・ラボがプロデュースするアプローチを取りました。セブン・ラボのメンバーは裏方として、事業計画や企画立案、経営会議での折衝など、プロジェクトの足回りを担当し、コンテンツ自体は強烈な思いを持つメンバーが担当する、と分業した際の効果を見ています。

 われわれセブン・ラボは、事業を推進するスキルをある程度持つメンバーです。さまざまなプロジェクトに関わることで、足りないスキルを埋めながら、案件のローンチ率を上げる試みを進めています。

――それでは、アクセラレータを定義すると何になりますか?

 事業化を加速させる、あるいは事業化の確率を上げる役割、といったところでしょうか。アイデアやモデルをビジュアライズし、具現化に近づける。プランニングやモデリングを手伝う等の事業を立ち上げる一連のプロセスでサポートや内外のリソースを繋ぐ役割でしょうか。

――企業の中に、アクセラレータという役割を担う人材は必須なのでしょうか。

 いたほうがいいですね。アクセラレータはまだ少ないようで、他の企業と情報交換した際には、「自分の企業に松橋さんのようなアクセラレータはいない」とよく言われます。ただ、私もまだそれほど多くの実績を残していません。手探りで進んできましたし、これからも自己研鑽を続けていきます。

――アクセラレータになりたいと思って今があるわけではないですね。

 はい。ただ、アクセラレータの勉強会には参加しています。内容を聞いて実践して。なので、決まった定義やスタイルはないと思います。

――ただ、これは絶対必要だというものはあると思います。CNET Japan Liveでの講演では「コミュニケーション能力だ」とおっしゃっていました。

 ほかにも、可視化能力が必要ですね。言葉が整理されていないストーリーを、ビジュアライズしたりストーリー化したり。これは結構大事です。

――それはどうしたらできるようになるのでしょうか。

 訓練もあると思いますが、グラフィックレコーダーという完成されたスキルもあります。私が今やっているのは、社会人企業家が集う場で、言語化されていないアイデアを、書き上げてまとめて要約するものです。

――それは誰かに教えてもらったり、本に書いてあったのですか?

 いえ。チーム・ゼロイチという起業家コミュニティには参加してはいますが、マニュアルというより実践で取得しています。起業家を支援するプロセスに入りながら、あれこれ一緒にメソッドを試しています。

イノベーションを実行するには自己改革が必要

――チーム・ゼロイチについて、詳しく教えてください。

 チーム・ゼロイチは、大企業の社員に起業家体験をしてもらうことで、新規事業の成功率を上げる活動をしているコミュニティです。ビジネスにはやはりいろいろな形があって、ブルーオーシャンという、誰も触れていない、誰も作っていないものから、レッドオーシャンという、たくさん参入がある中で、それをリプレースするというやり方もあります。チーム・ゼロイチでは、ビジネスのスタイルごとにやり方が違うというのを整理しながら、特にブルーオーシャン事業はどうやるべきかを、研究しながら実践しています。

――チーム・ゼロイチへは、どのように関わるようになったのでしょうか。

 きっかけは、出資先の方に紹介を受けて、話を聞いてみたら面白いと感じたからです。チーム・ゼロイチが開催する勉強会に行ったり、実際に話をしてみたり。アクセラレータってこれから大事そうなので、まず「自分もアクセラレータだ」と決めました。そこで、ちゃんとアクセラレータと呼ばれるようになるために、きちんと学ぼうと思いました。

 よく言われることなのですが、多くの人が自己改革の必要性を説いても、上に行けば行くほど誰もしなくなる。リーダーとしてイノベーションを実行するには、自分も自己改革をし続けないといけないんですよね。常に新しいことにチャレンジして学習していかなければ、自分の現在価値は落ちるし、一緒にやろうとしても誰も参加してくれません。

 以前から色々なテーマに挑戦してきましたし、その都度ナレッジをどんどん得ていました。ただ、さらに何かを生み出すためにはビジネス化するためのスキルが必要だと感じていたところで、チーム・ゼロイチに出会ったんです。自分で作る側から、メンバーのビジネス化を支援する側に変わるときに、必要なスキルが違うのを認識して、取り組んでいます。

――スキルが違うというのはどういうことでしょうか。

 自分で企画書を書いてアイデアを具現化する、というのは、比較的簡単に想像できるスキルだと思います。ただ、他人の考えを引き出して可視化し、さらに足りないスキルを補完してあげるというものとは、やはり少し違います。その人の持っているアイデア自体を昇華させてくスキル。言語化やビジュアライズするスキル。あとは、共感のスキルもありますね。昔は、共感できないとそれで終わりでした。今は、自分から共感しにいって相手と同じ考えにならないといけない。他人の考えを纏め上げるスキルを得るのは、とても難しいです。

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