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「空飛ぶクルマ」の実現を目指す--空の移動革命に向けた官民協議会がスタート - (page 2)

西中悠基 (編集部)2018年08月31日 15時29分
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 「交通を変える」が由来の社名だとするテトラ・アビエーション。ボーイングが主催する、個人用飛行装置の国際コンテスト「Go Fly」の第一チェックポイントを、世界トップ10で通過した実績がある。CEOを務める中井佑氏は、「ホームメイド機の市場規模は日本と海外では大きな差がある」とした一方で、「航空ショーの来場人数はアメリカと遜色なく、日本人も飛行機が好きだ」と指摘。「安全を考慮した上でビジョンを作れば、自由な空の社会は日本でも開かれるのでは」とした。また、Uberが2023年に目標とするエアモビリティの事業化を挙げ、日本でもこの5年が勝負だと強調。中井氏はテトラ・アビエーションの戦略について、「5年で実現可能な範囲に絞り、スピード感を重視して世界に並ぶ」と目標を語った。

テトラ・アビエーションが強調する「勝負の5年間」
テトラ・アビエーションが強調する「勝負の5年間」

 中距離の移動を想定した垂直離着陸機を開発しているというTemma 代表取締役社長の福井宏治氏は、同社の構想について発表。日本人であれば10人程度が搭乗できる性能を目指すという。「この機体を広島から松山や大分へ飛ばせば地方創生になる」とした福井氏。2024年の耐空証明取得を目指しているといい、将来的には新しい輸出産業にしていきたいと目標を語った。

Temmaが構想する有人の機体「Temma-8」
Temmaが構想する有人の機体「Temma-8」

 最後に登壇したのは、自動車業界などで存在感を見せるUber Technologiesのエリック・アリソン氏だ。アリソン氏は、「ヘリより安全で静か」だという垂直離着陸が可能な機体や、スマートフォンで予約ができるシステムなどのイメージを披露。空飛ぶタクシー「Uber Elevate」について、「2020年にデモンストレーションを実施し、2023年に商用サービスを開始する」との目標を語った。

Uberが描く将来のエアモビリティ。スマートフォンなどで予約し、ビルの屋上などから搭乗できるという
Uberが描く将来のエアモビリティ。スマートフォンなどで予約し、ビルの屋上などから搭乗できるという

 発表後の質疑応答においては、経済性や騒音、安全性などに対して議論がなされた。

 東京大学大学院 工学系研究科の鈴木真二教授は、「ヘリコプターは効率だけでいえば非経済的だが、その場で静止できるなどの利点があり利用されている」と例に挙げ、「同様に、経済性には劣るが利便性は高いという点を見出す必要がある。経済性という一点では進めない」と、利益優先となることに懸念を示した。また、騒音や電力を使用することへの環境負荷について指摘。空飛ぶクルマを利用する必然性を説明しなければ、社会に認められないと提言した。

 CARTIVATORの中村氏は、空飛ぶクルマについて「騒音への懸念が多数聞かれた」という。中村氏は、まずは緊急搬送などの用途に使用することが、広く理解を得るには有用だとした。

 航空局の高野氏は安全性について、航空機に適用される安全基準を例に挙げ、「まずは無人の大型ドローンによる物流といった、安全基準をクリアしやすい分野から取り組む必要がある」とした。人口密集地帯や有人機体による飛行は安全基準が厳しくなるとし、「ステップを踏んで技術とルールの両方を整備していく必要がある」と述べた。

 Temmaの福井氏は、アメリカの連邦航空局について「現在は飛行機かヘリのカテゴリしかないが、国を挙げて産業界の意見を取り込みつつ、新しいカテゴリを作ってる」と、その柔軟性を示した。その上で、「日本として戦っていくには、真っ向勝負で進めなければガラパゴス化して輸出で勝てなくなる」との危機感を示した。

 官民協議会は、今後も複数回の開催を予定。原則非公開となるが、議事概要などは経済産業省の公式サイトにて公開される。経済産業省や国土交通省は、協議会での議論を経て、空飛ぶクルマの実現に向けたロードマップを、2018年度中に策定する考えだ。

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