「ドローン前提社会を作る」--最大50億円規模のドローン特化型ファンド第2号が設立

Aerial Lab Indsutries(ALI)が開発を進めるホバーバイク「Speeder-One」のモックアップ。12月に試験飛行を予定しているという

Aerial Lab Indsutries(ALI)が開発を進めるホバーバイク「Speeder-One」のモックアップ。12月に試験飛行を予定しているという

 2017年に日本初のドローンスタートアップ特化型投資ファンド「Drone Fund」を設立した千葉功太郎氏は7月31日、Drone Fundの第2号ファンド「Drone Fund 2」を設立すると発表した。2号ファンドは、8月1日に本格始動する。

Drone Fundを率いる千葉功太郎氏(中央)、Drone Fund アドバイザリーボードメンバーの西脇資哲氏(右)、司会・モデルの諸江雪乃氏(左)
Drone Fundを率いる千葉功太郎氏(中央)、Drone Fund アドバイザリーボードメンバーの西脇資哲氏(右)、司会・モデルの諸江雪乃氏(左)

 「空の産業革命」と呼ばれるドローンビジネス。日本国内の市場は2024年までに2530億円を超え、世界全体でも2022年における潜在利用市場が18兆円を超えると予想されているという。また、飛行する車が活用される「エアモビリティ社会」の実現に向けたロードマップが政府で閣議決定され、都市部の渋滞緩和や、災害、観光促進への活用が期待されるなど、ドローン分野への注目度は増している。

 千葉氏は、第1号ファンドにおいて総額約16億円を資金調達し、約20社に投資を実施してきた。投資先もドローン技術やソフト、ハードなど幅広く、「国内においてドローンに関連する企業にはすべて投資した」という。続くDrone Fund2では、調達額を30億円から最大50億円とし、ドローン専業型VCファンドでは世界最大規模となる。ファーストクローズを9月30日、ファイナルクローズを12月末とする。初期投資家にはみずほ銀行、KDDI、セガサミーグループのほか、サッカー日本代表の本田圭佑氏も名を連ねている。

 「ドローン前提社会を作る」とファンドの方針を掲げた千葉氏。SF作品などで描かれる21世紀の世界に対し、現実ではまだ「空飛ぶ車」などは実現していない。「SF社会を生きているうちに実現して堪能したい」と語る千葉氏は、2024年までに物流ドローンや生活用ドローン、災害時に活躍するホバーバイクが当たり前となる未来を描いている。

 また、自家用小型機が一般に普及している米国と比較し、日本では「空を飛ぶ」ことは一般的ではない。千葉氏はこの現状を逆に生かし、「機械やAIが自動操縦する乗り物とエアモビリティ専用の航空管制システムを構築すれば、安心安全な空のインフラを作る先進国となれる」と期待する。

 千葉氏は、このエアモビリティ社会を実現するため、Drone Fund2では、ハード・ソフト、技術やサービス運営会社といったすべてに対して国内外に投資をしていくと宣言。日本での実現に向け、官民で連動しながら日本の各企業・団体で一丸となって推進していくと語った。

 また、Drone Fundのアドバイザリーボードメンバーを勤める日本マイクロソフト エバンジェリスト 業務執行役の西脇資哲氏は、ドローンが空の産業革命を担うとし、ここで日本がドローン分野をリードできると述べた。日本は自動車分野において、自動車やタイヤの販売数が世界一であるほか、教習所や車検といった先進的なシステムがあると西脇氏は説明。同様の施策をドローンでも実施できれば、世界でも高いレベルの業界牽引者になれると強調した。また、モーターや蓄電池、各種センサやカメラなど、ドローンを構成する部品も日本がほぼトップシェアだと強調。下地の環境はできていると期待を見せた。

 Drone Fundのスタイルを「金融ファンドというよりも『日本ドローン株式会社』というべきホールディングスカンパニーの社長」と定義した千葉氏。利益目的の投資ではなく、経営目線での投資や、投資先同士の協業・合併を視野に入れて事業を遂行しているという。「投資先同士をくっつけていくのもファンドの役割だ」述べた千葉氏は、「日本ドローン株式会社によって、日本のドローン産業を世界で戦えるようにしていきたい」とした。ドローンの法制をリードする立場で公共政策部門へも力を入れるなどの展開を進め、エアモビリティ社会を日本で実現するとファンドの目的を語った。

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