空飛ぶクルマが街の中を飛び交う世界ーーそんなSF作品のような未来へ向けた取り組みが、日本でも加速している。
8月30日、都内の会議場にて、「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催された。国土交通省や経済産業省が主体となって推進するもので、NECやSUBARU、エアバス・ジャパンといったメーカーや、UberやANAホールディングスなどの移動ソリューションを提供する企業、CARTIVATORやDrone Fundを始めとする関連団体などが参加する。
冒頭、経済産業省 製造産業局長の井上宏司氏は、「空と陸と海の移動がシームレスに繋がる、将来のトータルモビリティサービスの一つとして空飛ぶクルマが登場しつつある」と認識しているとし、「自動車の普及時と同様、全く新しい社会を生み出し、多くの社会課題を解決する可能性がある」と語った。井上氏は、第一回となる今回の協議会において、「まずは民間企業から空の移動の将来像を発表してもらい、ロードマップの策定に繋げていきたい」と意気込みを示した。
また、国土交通省航空局 安全部長の高野滋氏は、「世界に先駆けた空飛ぶ車の実現に向け、安全確保を大前提としつつ、皆様と取り組んでいきたい」と述べた。
続く発表では、7つの民間企業・団体から、空の移動の将来像についてのプレゼンテーションが実施された。
まずはじめに登壇したのは、ドローンスタートアップ特化型投資ファンド「Drone Fund」代表の千葉功太郎氏。千葉氏は、「ドローン前提社会を作る」というファンドの方針を発表。25メートル四方のスペースで垂直離着陸が可能な大型ドローンによる拠点間物流や、ビル屋上から発着するドローンタクシーといった構想をイラストで発表し、エアモビリティ社会のイメージと意義を示した。
トヨタ自動車などの出資により、ドローン開発を目指す有志団体CARTIVATOR。共同代表の中村翼氏は、「意のままに移動できる自由」「一秒でも速く移動できる自由」「道路がなくても移動できる自由」といった自由を実現し、「2050年までに誰もが空を自由に飛べる世界を作ることが目標だ」と語った。その上で、業界全体の課題として、技術や事業などの問題があると指摘。「官民共同、あるいは異業種と共に解決していきたい」と述べた。
NEC 取締役執行役員副社長の石黒憲彦氏は、これまで社会ソリューション事業や航空・宇宙事業で培ってきた技術を生かし、空の移動革命に貢献していきたいとした。
産業用ドローン専門メーカーのプロドローン 代表取締役社長 河野雅一氏は、ドローンメーカーとしての視点で発表。「さまざまな種類のドローンを作っており、こうしたノウハウで早期に安定した製品を提供していきたい」と述べた。
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