かつて自動車のキーは、ドアロックの操作やエンジンの始動などに使う際、鍵穴に差し込んで回す必要があった。今は、電波で自動車と通信するリモコン「キーフォブ」が普及しており、ポケットやかばんに入れたままでもドアを開けたりエンジンをかけたりできるようになった。
Appleは、こうしたキーフォブをさらに使いやすくするほか、スマートフォンなども高機能キーフォブとして使えるようにする技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間8月16日に「ENHANCED AUTOMOTIVE PASSIVE ENTRY」(公開特許番号「US 2018/0234797 A1」)として公開された。出願日は2018年2月12日。
この特許は、モバイルデバイスを自動車に任意の機能を実行するためのキーフォブとして使う技術を説明したもの。ただし、ユーザーがデバイスを操作する必要はなく、自動車に近づいたら機能が自動実行される。デバイスとしては、いわゆる自動車用のキーフォブのほか、スマートフォンやスマートウォッチ、各種ウェアラブルデバイスなどを想定しているが、特に制限はない。
技術のポイントは、自動車とデバイスの位置関係を、電磁波と磁気という2つの手段で計測すること。自動車から電磁波および磁気で何らかの信号が発信されており、デバイスが電磁波用と磁気用という2種類のアンテナで信号をとらえ、それらの情報を組み合わせて位置を算出する。
この方法を使うと、デバイスの位置をより正確に認識できるため、位置に応じた細かな制御が可能になる。たとえば、運転席側のドアの前に立つとそのドアだけキーを解除する、自動車の後方に立つとトランクのキーを解除する、ほかの位置だとすべてのキーを解除する、といった機能の切り替えができる。また、車内にいる場合はエンジンの始動ボタンを押せるようにする、などの機能も考えられる。
位置計測用の電磁波としては、無線LAN(Wi-Fi)やBluetoothの電波を使うアイデアに言及している。また、磁気を計測するアンテナとしては、Qiなどのワイヤレス充電用コイルや、非接触通信に使うNFC用アンテナを流用するアイデアに触れている。
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