「Hyperloop」構想が発表されてから5年たつが、いまだに現実とハイプ(誇大宣伝)の区別が難しい。
Elon Musk氏が、ポッドと呼ばれる乗り物をチューブ内を浮いたまま超音速で走行させるHyperloop構想をオープンソースで公開してからの5年間、非常に現実的な進捗が幾つかあった。だが、幾つかの約束は破られ、革新的な交通手段の夢は、少なくともあと数年は夢のままになりそうだ。
Musk氏が2013年8月12日、Hyperloop計画をTeslaとSpaceXのウェブサイトで公開した段階では、そのPDFファイルが世界に存在するHyperloop開発のすべてだった。
5年後、専用路線と実物大のポッドが製造・テストされてきた。Musk氏主催のコンペでは小型ポッドが速度記録を更新している。多くのテスト路線やHyperloopセンターが予定されている。一握りの企業が、オハイオ州クリーブランドから中国まで、世界の政府機関と多数の契約を結んでおり、都市間を接続するHyperloopの建造や、少なくともその実現可能性の調査を依頼された。
Hyperloop Transportation Technologies(HTT)の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のDirk Ahlborn氏は電子メールで次のように述べた。「この5年間、Hyperloop事業の誕生とその成長を見守るのはエキサイティングだった。最初はわれわれだけだったが、今では企業、大学、政府もHyperloop関連技術を開発する時代に発展した」
HTTは、Musk氏の構想発表の直後に立ち上げられたクラウドソースの取り組みから生まれ、Hyperloop関連の話題を提供する新興企業の1社に成長した。
Hyperloopへの信頼は絶大だ。Musk氏は当初、自分自身ではHyperloopを建設しないとしていた。だが、同氏が経営するThe Boring Companyは既にワシントンD.C.とニューヨークを結ぶ路線を開発する許可を、トランプ政権の支援とともに取り付けている。
Musk氏率いるSpaceXにHyperloop関連プロジェクトの進捗について問い合わせたところ、ポッド設計コンペのウェブサイトを紹介された。同じ質問に、The Boring Companyはまだ答えていない。
Musk氏と並ぶ億万長者、Richard Branson氏もHyperloopの機運に参加した。同氏はHyperloop構想に取り組み中の主要な新興企業の中の1社に出資し、その企業に自分の個人ブランドをつけてVirgin Hyperloop Oneと社名変更した。
Virgin Hyperloop Oneの広報担当者、Marcia Christoff氏は電子メールで「この4年で、われわれはガレージのホワイトボード(に描いた計画)から3億ドルの出資を受ける世界的なリーダーに成長した。世界初で唯一のテスト・開発場と、世界中の出資者と政府クライアントを獲得した」と述べた。
Virgin Hyperloop OneとHTTは世界中を巡り、現実世界のHyperloop路線実現に向けた契約に署名している。
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