約2週間前、Apple、Facebook、YouTubeをはじめとするさまざまなサービスが、陰謀論者として知られるAlex Jones氏や同氏のサイト「Infowars」をサービスから排除した。
しかしTwitterは、米国時間8月14日になるまで対応を取らなかった。同社は同日、Jones氏のアカウントによるツイート発信を1週間停止した。これはJones氏がTwitterのライブストリーミングアプリ「Periscope」を使って、視聴者に「戦闘用ライフル」を取るよう煽る発言をしたとされ、その動画の一部を含むツイートをしたことを受けた措置だ。しかし、同社が態度を変化させたのはなぜだろうか?
変化の理由はメディアであったことがわかった。Twitterの最高経営責任者(CEO)Jack Dorsey氏は8月19日、米CNNのインタビューに対して、CNNやその他のレポーターが、Jones氏やInfowarsが同社の規約に違反している事例を掘り起こしたことが、最終的に同氏のツイート発信の停止につながったと語った。
同氏は、そうした報告が入って来始めるまでは、Twitterは「利用規約違反で対応を取れると考えられるだけの通報」を受け取っていなかったと説明した。「わが社は通報に基づいて対応を取っている」と同氏は言う。
Dorsey氏は番組「CNN Sunday」で、これは時間と、エネルギーと、費用の問題だと語った。「すべてのコンテンツに対して、もっとずっと能動的に対応すべきだという人もいるかもしれない。それは不可能ではないが、非常に多くのリソースを必要とする」と同氏は述べた。「そうなれば、動画のコンテンツを何時間もずっと見続けることになる」
Dorsey氏は、Twitterが発言の取り締まりを能動的に行わないのは、以前からの方針だと説明した。Facebook、YouTube、Twitterの3社はすべて、不適切な利用の発見については、主にユーザーに頼っていると述べている。しかし問題は、AppleやFacebook、YouTube、Spotify、Stitcherをはじめとする多くのサービスが、不適切な行動を取ったとしてJones氏を一斉に利用停止にして注目が集まる事態になっても、Twitterはそのようなユーザーのチェックにリソースを割かなかったということだ。Jones氏には、トラウマを抱えた銃乱射事件の被害者やその家族にさらに傷つける出来事を誘発した過去がある。
これに対し、Facebookは2種類の対応を取っている。同社は利用者からの通報に頼るだけでなく、セキュリティやコンテンツのモデレーションを担当する職員を1万人以上雇用するとしており、この莫大な投資は、すでに同社の利益を圧迫しているとみられている。
シリコンバレーでは、不適切な行為を特定するためのプログラムをトレーニングする試みも進んでいる。例えばFacebookは、同社のプログラムはテロリストのプロパガンダなどの99%を、通報を受ける前に特定したと述べている。ただし、ヘイトスピーチについては苦戦しているという。
一方、保守的な評論家は、IT企業は反対意見を検閲しているとして懸念を表明し、この流れに反発している。また、IT企業が判断に至った理由や、具体的にどの投稿が問題だったかについての説明を十分に行っていないとも指摘している。
トランプ大統領は8月18日、この問題についてツイートを投稿し、ソーシャルメディア企業は保守系の人々の意見を封殺していると主張した。
「彼らは多くの"右"の人々の意見を封殺する一方、ほかの人々には何もしていない」と同氏はツイートしている。「トランプ政権として明確に述べておくが、われわれはそれを許すつもりはない」
TwitterのJones氏に対するアカウントの一時停止措置は、8月21日の夜に解除される可能性が高い。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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