シャープ、矢板と八尾事業所再編へ--「2つの大きな事業推進体制の見直し」 - (page 2)

チャットやテレビ会議もできる「内線スマホ」導入へ

 「“Mission”&“Ambition”」の考え方についても説明した。「量から質へ」の方針に沿って、日本国内では「事業の質の向上」としてビジネスモデルの変革に取り組んでいること、海外では、「量の拡大」を進めるとともに「製品の質の向上」に取り組んでいることを示しながら、「それぞれの市場特性や、事業の特性に合わせたきめ細かな戦略を立て、スピードを上げて実行する必要がある。だが、これまでは、国内と海外の事業をひとつの事業体が担ってきたため、“Mission”や、それぞれの収益性が不透明となり、重点強化すべき課題への対処の遅れやリソース配分のアンバランスを引き起こしており、結果として、十分な成果が出ていなかった。こうした反省を踏まえ、健康・環境システム事業本部とTVシステム事業本部を、国内と海外に分割するとともに、IoT事業本部と健康・環境システム事業本部の国内部門を統合して、国内事業を担うIoT HE事業本部、スマートTVS事業本部と、海外事業を担うグローバルHE事業本部、グローバルTVS事業本部に再編。各組織の“Mission”を明確化した。さらに、すべての事業において、既存事業の枠から抜け出せず、新規事業の立ち上げが遅れていることも、早急に対処すべき課題のひとつである。今後、各事業本部内に新規事業の立ち上げを“Mission”とする部門を新設し、取り組みを加速していきたい」とした。

 加えて、「このように組織を再編しても、幹部のリーダーシップのもと、新たな組織で、新たな挑戦に取り組もうという気運が高まらなければ、何も変わらない。全員が組織の“Mission”をしっかりと理解するとともに、その達成に向けた“Ambition”より、高い目標と仕事に、野心を持って取り組み、大胆な打ち手に挑戦することこそが、事業拡大を実現していくうえで最も大切である」と述べた。

 「IoT事業の拡大」についても言及した。シャープでは、低コストで活用できる独自のデータセンターを堺事業所内に設置。このサーバを活用して社内向けITシステムを刷新し、IT費用のコスト削減に取り組むとともに、業務改革に着手していることを説明。さらに、従来の内線電話システムとは異なり、チャットやテレビ会議、電話会議などにも活用でき、常に最新の電子電話帳にアクセスし、スムーズなコミュニケーションを、より低コストで行える「内線スマホ」の社内導入を段階的に進めていることを示した。

 さらに、安全なセキュリティ環境において、LINEやWeChatなどと同様のオープンで、スピーディーなコミュニケーションができる新たなコミュニケーションツールの開発も進めており、「導入により、組織の活性化や意思決定のスピードアップにつなげていきたい」とした。

 将来的には、これらのツールと社内業務システムとの連携を進め、リアルタイムでの販売情報の見える化や、経費処理、出張精算、勤怠管理といった日々の管理業務の効率化など、さまざまな観点からの改革を進めていく予定だという。

 また、社内向けに構築したシステムを構成する端末やアプリケーション、サーバ、データ通信、保守サービス、クラウドサービスなどをパッケージ化して、外販にも積極的に取り組む姿勢を示し、「これにより、ITソリューション事業を拡大し、ビジネスモデルの変革を一段と加速していきたい」と述べた。

 さらに、「RoBoHoN(ロボホン)」については、販売ルートの見直しや法人向けの展開などによって、着実に売り上げが伸長していることに触れ、「2018年度下期には、現行モデルの新機種の投入や、ラインアップの拡大も予定しており、これにより、さらなる販売拡大を実現していきたい」とした。

 一方、「デジタルマーケティングの強化」についても触れた。7月12日には、タイのSTCLを主会場として、ASEAN、台湾、日本の各拠点をテレビ会議でつなぎ、「デジタルマーケティング」をメインテーマにした「第4回AMC Regional Communication Meeting」を開催したことに触れ、「社外の専門家を招き、メディアミックスの考え方やターゲット顧客へのアプローチ手法、動画コンテンツの戦略や展開手法などについて、最新情報を理解するとともに、各拠点における取り組みを共有した。デジタルマーケティングは、欠かすことができない取り組みであるが、若年層人口が多く、今後、大きなECビジネスの伸長が予想されるASEANでは、とくに重要な役割を果たす。今後も、ASEANのリードのもと、“One SHARP”によって議論を深め、顧客との新たなコミュニケーションのアイデア創出につなげてもらいたい。そして、1日も早く、ASEAN No.1ブランドを達成するとともに、そのノウハウを日本や欧州、さらには米州にも展開し、グローバル事業拡大を推進していこう」と呼びかけた。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]