自宅の水道水がオゾン水に変わり、家中の除菌や掃除に使える未来が来るかもしれない。パナソニックは8月2日、「オゾン水生成技術」について技術セミナーを開催。除菌、脱臭、防カビ効果の高いオゾン水を生成する「オゾン水生成デバイス」の開発背景や、「オゾン水の効果」について話した。
オゾンは、強力な酸化作用を持ち、除菌や脱臭の効果を持つことが特長。漂白剤に用いられる塩素や、消毒液に使われている過酸化水素より酸化力が強く、反応後は酸素に戻る特性をもつ。オゾン水は、そのオゾンが溶解している水で、液体のため扱いやすく、水回りの清掃などに効果的に使えるとのこと。薬品も不要のため、すすぎもいらない。
すでに浄水場や半導体工場、食品工場などの大型施設で活用されており、高い除菌、防カビ、脱臭効果から、家庭用としての活用も期待されていた。しかし従来使用されていた「ガス溶解方式」では、溶解ロスが多く、構成も複雑。小型化は困難とされていた。
パナソニックでは、水を電気分解して直接オゾン水を作る「電解方式」を採用。これにより高さ153mm×幅22mm×奥行き32mmの手のひらサイズの「オゾンウォーターデバイス」の開発に成功。8月に受注を開始する自動お掃除トイレ「アラウーノ L150」シリーズへの搭載を実現した。
オゾンウォーターデバイスは、水と電気のみでオゾン水を生成できるシンプルな構成が特徴。本体には給電板、イオン交換膜、陰極などの各パーツを積層構造にすることで、オゾン層を効率よく作り出す陽極(ダイヤモンド電極)を搭載。一般的な構造では、オゾンの溶解効率が低く、気泡が発生してしまうが、斜めスリットの独自構造により、気泡がほとんど発生しない「効率よく溶かす」技術を開発した。
技術セミナーに登壇した、大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 教授の向本雅郁氏は、オゾン水を使った細菌、真菌などを抑える不活化効果を測定。ほとんどの細菌や真菌に対して効果があることがわかったという。「安全で手軽に使えるオゾン水は、生活環境改善に期待できる」とコメントした。
オゾン水は、飲料用としては適しておらず、現状では洗浄用の水として使うことを想定しているとのこと。生成されたオゾン水の効果は数十分程度のため、保存はできず、その都度生成が必要になる。
パナソニック アプライアンス社 技術本部ホームアプライアンス開発センター所長の本橋良氏は「オゾンウォーターデバイスは6月に出荷を開始し、現時点で採用されているのはアラウーノL150シリーズ。今後は水回りを中心に活躍できるところはたくさんあると考えているので、鋭意検討していきたい」と今後について話した。
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