KDDIは8月1日、2019年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比1.9%増の1兆2217億円、営業利益は前年同期比2.6%増の2887億円と、今期も増収増益の好調なスタートを切った。
ただし、業績内容は2017年度までと変化している。これまで好調をけん引してきたモバイル通信料収入が、前年同期比112億円減の4421億円となっているほか、au通信ARPA(1人当たりの月間売上高)も2.2%減の5840円と、やはり減少傾向にある。
これは「auピタットプラン」「auフラットプラン」の好調による、一時的な減収影響を受けているためだという。実際、両プランは5月31日に800万契約を突破しているが、KDDI代表取締役社長の高橋誠氏によると、「7月31日時点では900万契約を突破している」とのことで、引き続き好調な様子を見せている。
また、両プランの好調によって顧客の料金プラン満足度が向上しており、au解約率も0.71%と、前年同期の0.91%と比べ大幅に減少。MVNOなど、より低価格のサービスに顧客が流出するのを防ぐなどの効果を上げているという。
ただし、特に段階制のauピタットプランは、データ通信の利用が少ないほど減収要因が続くこととなる。そのため高橋氏は、米Netflixと提携して提供する「auフラットプラン25 Netflixパック」のように、コンテンツと組み合わせた料金プランを提供するなどして顧客のデータ通信利用を活性化し、より上位のプランを契約してもらう努力を進めるとのこと。ちなみに新料金プランのうち、auフラットプランの選択率は41%にまで上昇しているそうで、今後はその割合をより増やしていきたい考えのようだ。
モバイル通信料収入の減少を補い、業績をけん引しているのがライフデザイン事業である。それらの事業をまとめた「au経済圏」の流通総額は前年同期比38.2%増の5610億円、売上高も前年同期比21%増の1440億円と、いずれも2桁の成長率を誇っており、それが業績を伸ばす大きな要因の1つとなっているようだ。中でも伸びを支えているのは「au WALLET」などの決済事業や、「Wowma!」などのコマース事業だと高橋氏は話す。
ライフデザイン事業については、従来auの顧客のみ利用可能だった「ビデオパス」「うたパス」などが、8月2日よりオープン化されると発表された。KDDIは従来、自社サービスをauの顧客にのみ提供するという垂直統合型のビジネスを展開してきただけに、これは大きな方針転換に見える。
高橋氏は「auの顧客に一番いいことを届けることを前提に、それ以外にもアプローチする手段を探してきた」と説明。Wowma!や「じぶん銀行」などのように、「au」の名称が付かないサービスはauの顧客を優先しながらも、オープンで使える形で提供していく考えを示した。一方で、「単にオープン化したからといって顧客が増えるわけではないので、丁寧にやっていく必要がある」と話し、サービスのオープン化は慎重に進める考えのようだ。
また、最近参入が相次いでいるQRコードを用いた決済に関しても、高橋氏は「年度内を目標に対応していきたいと思っている」と回答。マスターカードの基盤を活用した「au WALLET プリペイドカード」などと同様、au WALLETの基盤を活用した決済手段の1つとして提供していくことを明らかにした。
QRコード決済に関しては、加盟店拡大のため店舗側が支払う決済手数料の低廉化競争が加速している。この点について高橋氏は「状況を見ながら対応しないといけないが、手数料だけでなく、au経済圏全体で見ることを考えている」と話し、決済手数料に依存しない収益手段を検討していく考えを示した。
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