KDDIとSupershipは7月25日、スタジアム観戦VRプラットフォーム「XRstadium」を、7月27日より提供開始すると発表した。
XRstadiumは、スポーツや音楽などのスタジアムで観覧するイベントを、仮想現実技術を用いて自宅などスタジアム外から楽しめる、スタジアム観戦VRプラットフォーム。当初提供するプロ野球の試合では、スタジアムに5つのカメラを搬入。ライト観客席やベンチ付近など、XRstadium独自のアングルでのライブ配信を体験できる。
VRコンテンツ独自の機能もある。リアルタイムのVR映像を見つつ、打球などのアップ映像を見ることができる「Picture in picture」だ。たとえば、バッターボックスから遠い外野席の視点でも、スタジアムの上の空間に映像を投影。外野席からの臨場感ある映像を楽しみつつ、バッターボックス付近の様子も把握できる。このほか、解説音声や試合情報をリアルタイムで視聴・閲覧できる機能もある。
またXRstadiumでは、コミュニケーション機能も搭載。音声通話とアバターを使用したグループ観戦機能や、利用者全員が共有するチャット機能があり、一人でも大勢でも同じ体験を共有できる。
コンテンツの視聴には、VR映像対応デバイスが必要だ。XRstadiumでは、「Oculus Go」や「Gear VR」のほか、Android 5.0以上のOSを使用した端末によるVRゴーグルに対応。さらに今後、「Mirage Solo」や「Daydream View」にも対応するとしている。
XRstadiumはコンテンツ第一弾として、7月27日以降のパシフィック・リーグ(パ・リーグ)の試合30以上を配信。初回は札幌ドームで開催する北海道日本ハムファイターズ対オリックス・バッファローズの試合映像を提供する。料金は1試合500円だが、27日~29日の3日間は、オープン記念として実質1円で配信する。また、複合カフェ「快活 CLUB」で提供する「『VR THEATER』見放題プラン」でも、コンテンツを体験できる。またKDDIでは、XRstadiumの提供開始にあわせて、Facebook協力のもと、KDDI直営店にOclus Goを使用した体験ブースを順次設置するとしている。
来る5G時代に向けて、プロ野球の試合においての自由視点映像のリアルタイム配信など、スポーツ分野においてさまざまな実証実験を進めてきたKDDI。3G時代よりスポーツ関連のデバイスやコンテンツを提供してきた同社だが、大容量化する5Gを見据え、ユーザーのスポーツ観戦体験をアップデートすることを目指している。
XRstadiumについて、「配信というよりも、場を転送している」と語った、KDDIのビジネス統括部部長 繁田光平氏。繁田氏は、「単純な配信ではない、インターネットをマージした新しい体験を作っていきたい」とする。現実のスタジアムの座席が満席となっても、xRシートを買って観戦できたり、今後VR映像を撮影していくことによって、歴史的な試合を体感できる、という世界を目指すという。
また、Supership 代表取締役社長の森岡康一氏は、「2020年に予定される5Gの実用化を考えた時に、3次元の空間を丸ごと転送することで、世の中の課題を解決できるのでは」と考えたという。スタジアム観戦においては、移動や時間に要するコスト、座席数のコストが課題だと指摘し、VRを使用することで、スタジアムの臨場感あふれる体験をすべての人に提供できるとした。
繁田氏は締めくくりとして、「今回は"Watch"のスポーツの進化だが、"Do"の領域など、別の分野にも展開していきたい」と、今後の展望について語った。
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