中国の国営通信会社China Telecom(中国電信)は現地時間7月17日、同社が中国ユーザーの「iCloud」データ保管業務を担当することになったと発表した。中国電信は、貴州省政府傘下のGuizhou-Cloud Big Data Industry Developmentからこの業務を引き継ぐことになる。Guizhou-Cloud Big Dataは、2月にAppleのiCloud事業を運営する権利を獲得して物議を醸した企業だ。
米CNETはAppleにコメントを求めたが、回答は得られていない。ただし、AppleはTechCrunchの取材に対し、今回の業務移管を認めている。
中国の国営メディアはこぞって、写真、テキスト、メモ、スケジュールのデータを中国の国営企業が保管することになる、今回の変更を高く評価した。「通信会社がユーザーのデータを管理、監視することはなく、Appleはネットワークワークサービスの提供に関して中国の地元事業者を必要としている」と、「業界の専門家」とされるXiang Ligang氏は、中国国営紙のGlobal Timesに対して語っている。
中国の消費者は、接続速度と接続品質が向上することを歓迎しているが、中国版TwitterのWeibo(微博)には、ユーザーからの疑念の声も上がっている。あるユーザーが「彼らは私のプライバシーを盗み出すだろう」と書けば、別のユーザーも、「ビッグブラザーは、効率性と安全性の見返りに、プライバシーを差し出せと言っている」と書き込んだ。
一方、人権擁護団体は、Appleが2月にiCloudの運営をGuizhou-Cloud Big Dataに移行したことを批判していた。同社は今回、データ保管業務をChina Telecomに移管することになった企業だ。
Appleは2月から、中国の新しい法的要件に対応するため、サードパーティー企業のGuizhou-Cloud Big Dataと提携して、iCloudデータの暗号鍵を中国で保管するようになった。この決定は軽々しく行われたわけではなく、Appleは声明の中で、この措置に関する自社の考えを明確にしている。
「中国は最近、同国の市民に提供されるクラウドサービスを中国企業が運営し、中国の顧客のデータを同国内に保存することを義務付ける法律を施行した。われわれは、iCloudをこの法律の適用外にするよう働きかけたが、最終的にはうまくいかなかった。われわれが取り得る選択肢は、新しい法律の下でiCloudを提供するか、このサービスの提供を中止するかだった。そこでわれわれは、iCloudを提供し続けることを選択した。このサービスを停止すれば、ユーザー体験に悪い影響を及ぼし、中国の顧客にとってはデータのセキュリティとプライバシーが損なわれることになるからだ」とAppleは述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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