加熱しているブロックチェーンスタートアップだが、ドットコム・バブルに近い状態かもしれないと元イーサリアムCEO、Input Output Hong Kong Ltd CEOのチャールズ・ホスキンソン氏は語る。仮想通貨は投機的な要素もあり価格変動が激しい。そしてサービスの実体や状況に詳しくない人が投資として参加してくるため、良いプロジェクトが資金を得られない一方で、間違ったプロジェクトが資金を集め、長期間にわたって存続するというケースもあり得るという。
ドットコム・バブルのときは投資が行われていたのは米国が中心であったし、投資を行っていたのは機関投資家やVCであった。ところが、ブロックチェーンは米国よりも日本や韓国の投資のほうが大きくなっており、洗練されていない多くの一般投資家が投資を行っている。市場が暴落したときにこうした人たちが最も被害を受けることをホスキンソン氏は危惧している。
テクノロジやバブルの功罪については良い面も悪い面もあるため、ホスキンソン氏は具体的には触れなかったが、このような状況では教育、そしてどのようにレギュレーションを定めていくかが大事になってくるという。
レギュレーションという言葉は、日本語では規制と翻訳されることが多く、ネガティブな意味合いで捉えられることが多いが、ホスキンソン氏が語るレギュレーションは調整という意味合いがより近い。
GAFAと呼ばれる、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルに代表される巨大IT企業が市場を独占することにより、ユーザーのプライバシーやフェイクニュースの拡散といった問題も見られるようになった。健全な成長、イノベーションを促進していく一方で、どのようにレギュレーションを行っていくのか。
日本は仮想通貨取引所においては、世界をリードしていく存在であり、金融庁によるコントロールによりコンプライアンスの徹底などがうまく行われているという。一方で「起業家としては日本ではフラストレーションを抱えることが多いのも事実だ。日本は急な変化、変革を受け入れていくという組織や社会ではないので、時間をかけてゆっくりと取り組んでいきましょうと言われてしまう。金融庁が認可した仮想通貨のみ国内取引所でしか扱えないというホワイトリストという方針は健全である一方、仮想通貨で新しいことを行おうとすると、とにかく『待て』と言われてしまう」
ホワイトリストにより国内で取引される仮想通貨の種類が限定されれば、健全性は保たれるが、国内外でブロックチェーン産業の競争力を高めるなら、なるべく多様な仮想通貨が流通できるほうが良い。ただそうなると、一般の投資家、ユーザーがより大きなリスクを抱えることにもなる。「日本のような大国だとブロックチェーンを推進する小国と比べて国内外への影響力が大きいため、どうしても(政府などの)決断が遅くなる。非難しているわけではないが、起業家が直面する現実だ」
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