LIFULLの新規事業提案制度「SWITCH」には、年間100件以上の新規事業提案が寄せられる。ピッチイベントは2018年度に計6回。すでに事業化、子会社化した案件は、本業である住まい領域にとどまらず、直近では花の定期便サービス「LIFULL FLOWER」や訪問歯科診療・口腔ケアの情報サービス「おうちで歯科」などの事業も始めている。
案件が集まらない、参加人数が少ない、事業化に至るまで時間がかかるなど、新規事業に取り組む各社が抱える課題を、どう受け止め、乗り越えてきたのか、SWITCH制度を運営する、LIFULL社長室事業開発グループの今村吉広氏に、スタートの経緯から、現在の仕組みについて聞いた。
SWITCHがスタートしたのは2006年。当初は学生向けの新規事業コンテスト「Switch(当時は小文字)」として始まった。同時期に社内向けの新事業制度を立ち上げ、この2つが現在のSWITCHにつながる。
当初は年1~2回のペースでピッチイベントを開き、社内の大型イベント的位置づけで実施。「年に数回の“お祭り”ではなく、もっとカジュアルに新規事業のアイデアを出せる場を作りたかった」(今村氏)という思いから、企画書の出し方やチーム制の導入、社内アクセラレーター制度の採用などの改革に取り組んできた。
その背景には、多くの新規事業を立ち上げたいという思いがある。LIFULLでは、2015年に「2025年までに100社、100カ国の展開」という方針を掲げた。それを目指し、新規事業の拡大、成長に重点を置き、当時新規事業だった複数の事業を子会社化。現在LIFULLグループ全体で15のグループ会社を展開する。
「100社の会社を立ち上げ、100人の経営者を育てる。そのためにはまずアイデアを集める必要がある。綿密な事業計画書などが必要だった当初に比べ、現在では、事業タイトルとそのビジョンが伝われば、企画書は1枚でもOK。ジャストアイデアでも受け付ける体制を整えている」と今村氏は、広く門戸を開いていることを強調する。
事業化のテーマは「あらゆるLIFEをFULLに」というLIFULLの社名にちなみ、生活領域全般。ただし「基本テーマはLIFULLらしさがあるかどうか。もちろん収益化は1つの基準ではあるが、それよりも社会にとってどんな役に立つのか、何を解決するのか、そういった肝がきちんとないと入賞には至らない」(今村氏)と審査基準を説明する。
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