SWITCH発で現在3社のグループ会社、これに続く複数の新規事業案件が立ち上がっており、LIFULLが目標として掲げる、子会社100社立ち上げの一端を担う。入賞後は、事業案の実現可能性を調査、検証するフィジビリスタディを経て、事業化、子会社化に結びつける。
SWITCH制度を運営する事業開発部門では、すべての段階においてサポートするが、「事業化までは手厚く支援し、子会社は自立自走してもうらうことになる。子会社化が視野に入ってくると経営者を育成する役割が強くなり、経営を学んでもらう段階。子会社化以降は完全に手離れする」(今村氏)と説明する。
子会社の立ち上げについては、会社の登記から経理、人事とすべて責任を経営者が負う。そのため、社内に子会社のスペースを設けた場合は家賃を収めるし、文房具やコピー代なども本社に支払う。「新規事業の責任者までは社員だが、子会社はすべての権限と責任を経営者である社長に任せる。経営者を育成するという観点を重視しこうした体制を採用している」と今村氏は話す。
イベントではなく事業提案を文化として浸透させる。アイデアレベルのものでもエントリーできるよう間口を広げる。誰かに相談できる環境を整える――SWITCHはここ数年で、ここまでの仕組みを作った。これが功を奏し、エントリー数は年間100件超。入社1~3年目の社員からのエントリーが最も多いというが、中堅、ベテラン社員からの提案や、内定者からのエントリーもあるという。
「重視しているのは新規事業提案の文化形成。お祭り的なイベントとして開催すると、一定の層にリーチはしても、それ以外には浸透しにくい。もう少しカジュアルにアイデアを提案してもらって、日常的に新規事業を考え提案できる土壌を整えたい。加えて、出口のクオリティは上げなければならないので、そのためのサポート体制を築いている」と今村氏は現在の仕組みを作った背景を説明する。
一方で、現場やマネジメントサイドの意識改革にも取り組む。「社内アンケートを実施したところ、『忙しくてエントリーできない』という答えが一番多かった。その1つの解決策がチーム制で、役割分担ができたり、リソースが増えたりすることで、新規事業に取り組む時間が作れる。もう1つが、上司や周囲の理解。新規事業に限ったことではないが、LIFULLでは社員1人1人のやりたいことを尊重し応援する文化があるため、その部署に欠かせない人材だとしても、一定の基準をクリアすれば異動したり、新規事業を立ち上げたりできるような人事制度を採用している」という。
今村氏は「新規事業が生まれる会社といったらLIFULLと言われるようにしていきたい。近年は起業家マインドを持ち入社してくる社員も多く、そういう意味でのベースはすでにできている。そのベースをより強固にすることで、SWITCHを、新規事業=LIFULLと最初にイメージされるような大きな取り組みにしていく」と今後の目標を話した。
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