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ドローンは社会になじめるか--センシンロボティクスが「ブイキューブ」の冠を外した理由 - (page 3)

山川晶之 (編集部) 西中悠基 (編集部)2018年07月04日 13時00分
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一般企業への導入はそう遠くない

――ドローンの飛行が私有地にのみ認められる規制がある以上、一般人が目に見える段階にまでドローンが普及するのは、まだ先でしょうか。

 そうだと思います。現在、ドローンは人口密集地では飛ばせないという規制があるので、市街地で飛ばすことはできません。ただ、これは危険かそうでないかという表裏の話です。大重量のドローンが頭上から落ちてきたら危険ですが、墜落しても被害が出ない軽量ドローンが開発されれば、人口密集地でも飛行ができます。規制改革については、制御技術やハードウェアの進化と、同期を取って進んでいく話になると思います。

――技術水準が上がれば、導入環境も必然と変わってくるということですね。

 むしろ、われわれからすると規制が緩いためにいい加減な業者が現れる方が問題です。過去にも規制が緩かった頃に、不慣れなユーザーが想定外の使い方をして事故を起こすことがありました。マラソン大会での飛行で選手を怪我させたり、縁日でお菓子を撒いて墜落させたり。お菓子の事例では、申請と別の機体を飛ばしていました。こうなると、飛ばす側のリテラシーが問われてきます。あのような業者が出てくると、業界全体としての信頼が低くなります。ですので、規制を緩めればいいという話ではないと思います。きちんと健全に市場として立ち上がれる、最低ラインを作った上で取り組むべきだと考えています。

――では、一般企業でドローンを導入するとなると、ハードウェアと法整備が課題になるのでしょうか。

 一般企業が導入するのは難しくなく、そう遠い時期ではないと思います。たとえば工場内の設備点検では、私有地内での飛行になります。われわれが事業として推進していく3領域、工場や倉庫といった敷地内での活用なら、すぐに広まると思います。

 また、たとえば災害時は規制の対象外となりますので、災害対応として緊急時輸送の提供はあり得ると思います。医薬品を輸送する必要がある際に道路が機能しない状態でも、ドローンなら配送できます。

 配送分野でも、宅配事業への導入はまだ時間が掛かると思いますが、飛行ルートが決まっている拠点間物流では、私有地に近い状態となるので、それほど遠くない将来に活用されると思います。そういった、一般の目に触れる分野よりは、産業分野向けへの導入が先になると考えています。

――センシンロボティクスとして、農業や畜産といった別領域への進出は検討していますか。

 もちろん検討はしています。ただ、われわれが引き合いをもらっているのは海外からです。国内の農業や畜産では、ドローンが必要な規模ではないので、費用対効果で考えるとどうしても条件が悪いです。なので、われわれがそういった分野へ進出することを考えた場合、もしかしたら海外での事例が先になるかもしれません。

ドローンが飛んでいることをあまり意識しない世界

――日本でもっとドローンが求められる社会になったときに、さらなる普及への課題を感じる点というのはどのようなものでしょうか。

 まず、ハードウェアの進歩が必須です。ドローンの小型化やバッテリ性能の向上でドローンがさらに洗練されると、全く違う世界になると思います。

 私が思い描いている世界は、ドローンが飛んでいることをあまり意識しないものです。たとえば、街中を歩く際に監視カメラを意識することは多くない。それと同様に、ドローンが飛んでいることを意識しない状態にできるのではと考えています。交通情報システムのカメラが、すべてドローンに置換えられてもおかしくはないわけです。そういう世界が、5年後10年後にやってくると考えています。

 われわれが進める汎用化・自動化も、それを前提にしています。たとえば、センシンロボティクスが提供するソリューションでは、ドローンの機体は汎用的なものを使用していいます。今後技術が進展しても、サービスのクオリティに合う機体を選定すればいいわけです。

――ドローンが飛んでいることをあまり意識しない世界を100だとすると、今はどの段階なのでしょうか。

 ドローンが黎明期からやっと普及期になった段階ですので、今は5か10ですね。逆にわれわれのようなプレイヤーからすると、そういう市場でないとど真ん中に居続けるのは難しいです。

 われわれの会社の特徴として、とてもスモールサイズな組織なのに、大企業と業務提携をしていることが挙げられます。新しい分野では大会社がスピード感を持って進めるのが難しいことを、われわれがスピード感を持って進めています。そういうことができる領域なので、現在の状況をメリットと思って取り組んでいます。

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