logo

ドローンは社会になじめるか--センシンロボティクスが「ブイキューブ」の冠を外した理由 - (page 2)

山川晶之 (編集部) 西中悠基 (編集部)2018年07月04日 13時00分
  • 一覧
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

全自動のドローン運用ソリューションも提供

――資金調達した12億円は、どのような分野で使用するのでしょうか。現状を含めて教えてください。

 今回の12億円は、基本的には開発系への投資が多くなります。新しいサービスやドローンの開発、また社員の新規採用や外部のアライアンスも検討していきます。

 現在われわれが注力しているのは、「設備点検」「災害対策」「警備・監視」といった3領域です。サービスを作っていく上で、自動化・汎用化といった、雇用が動きそうな領域に重きを置いて取り組んでいます。

 具体的には、送電線の点検が挙げられます。人が鉄塔に登っての点検を、ドローンを飛ばして下から監視できるようにしています。それから橋の点検でも、大型重機を使って人が目視で確認しています。これらは、人が危険な場所に直接行って点検しないといけません。こういうところで、ドローンを使って代替できればいいと考えています。特に、このような作業を担当する人は年齢層が高めで、5年後、10年後と考えた時に人材確保が難しい。その代替手段を狙って開発を進めています。

 それと災害時です。災害時は誰かが状況を把握しに行く必要がありますが、その際に担当者が危険に晒されることになります。東日本大震災においても、避難誘導へ向かった自治体の職員が、津波に巻き込まれて大勢亡くなっています。現在仙台市と進めている実験では、仙台市の経験を基に、そのような業務が自動化できて、人が介在しなくなればいい、ということをコンセプトとしています。

――先日も関西で地震がありましたが、そういうケースで有用だということですね。

 また被災状況の把握時には、現地から人と人との間で伝言ゲームが始まります。対応までに時間が掛かったり、情報伝達の途中で内容が変わったり、ということが起こりがちです。われわれのソリューションを使えば、状況を関連各署がリアルタイムで見ながら議論ができます。誰が何を発言したのかも記録されるので、エビデンスも取れます。

 また、自動化・汎用化という取り組みですと、単純な業務の効率化、たとえば「このプロセスが短くなります」ということを言うわけではなく、「業務が高度化されます」など、抜本的に業務を改善することを前提に、違った流れで進めていきたいと考えています。

 われわれのソリューションには、全自動でドローンを運用する「DRONE BOX」があります。DRONE BOXでは、単独での飛行以外にも、複数機を連携させた飛行やそのデータをクラウドに上げての統合解析、3交代制による24時間稼働も実現しています。

全自動ドローン運用サービス「DRONEBOX」。ドローンの自動離着陸、自動充電、データリンク機能を備える
全自動ドローン運用サービス「DRONEBOX」。ドローンの自動離着陸、自動充電、データリンク機能を備える

 また、ドローンで認識した画像の画像解析や、ブイキューブのウェブ会議システムをカスタマイズしたリアルタイム映像コミュニケーション、センサ連携といったソリューションも提供しています。センサをトリガーとしてDRONE BOXから自動的に発進させることも可能です。

 今後は、ドローン業務を抜本的に自動化するシステムも提供していきます。センシンロボティクスのソリューションが活用される3領域において、シーン別のアプリケーションと連携して、ルート設定やデータの自動解析、レポート出力までを自動化していきます。

 これらのソリューションに使用するハードウェアは汎用的なものを採用していて、それをプラットフォームとしてサービスを提供しています。

ドローン市場は黎明期からまもなく普及期へ

――これまでにセンシンロボティクスのソリューションを導入した事業者からは、どのような反応があるのでしょうか。

 現在導入していただいているユーザーでは、ドローンを飛ばして映像だけで点検するという例が多いです。それらのユーザーからは、「もっとハイスペックな機体やカメラを使いたい」とか、「もっと省力化・無人化したい」、たとえば画像認識を使いたいとか、DRONEBOXを導入したいといったリクエストが出てきているので、それについての検討は始めています。

 ユーザーには、ドローンの効果や有用性が認識され始めていると感じます。ただ、ドローンを導入する会社というのは規模が大きな組織が多く、ある日突然「ドローンに全て変えました」というわけにはいきません。トライアルとして小規模で始めて、そこで効果が得られたら部分導入して、そこから分野を広げて、というステップを踏む必要があります。そのトライアルや部分導入という段階が、われわれが今いるところです。そういった意味では、市場が黎明期からやっと普及期に入るか、という段階です。ドローンを導入した事業者の担当者と話すと、以前は「ドローンを導入したい」という話が多くありましたが、今は実際に業務の要件に適合できるソリューションについての問い合わせがメインになっています。実証実験から導入検討というフェーズに変わってきています。

――国内と国外の差を感じることはありますか。

 海外のドローンビジネス事業者と話をすることもあるのですが、そこはあまり変わらないと思います。ただ、国内でドローンを飛ばそうとすると、私有地内限定、などの規制があるので、安全対策にきちんと配慮して取り組む形にはなります。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]