「人は、問題なくできたことはあっさり忘れて、できなかったことは、いつまでも悔やんで覚えているものだな」と、本書を読むと、実感する。「ありがとうございます」と言われたことでも、よほど自分もがんばって乗り越えたことなら覚えているだろうが、その日の夜には、「お礼を言ってもらえた」ことを思い出すことは、ほとんどないだろう。
それほどに、仕事や日常生活の場は忙しく、あっという間に過ぎ去っていってしまう。だからこそ、毎日ほんの5分、月に1回たったの10分でも、自分が「できたこと」を振り返り、自信を持つきっかけを作るのは、とても大事だ。それは、自分を大切にする時間なのだから。「できたこと」と言っても、何かを成し遂げたというような大げさなものではない。本書に挙げられているさまざまな立場の人の例を見ても、「そんなことでいいの?」と思うかもしれない。ただ、それこそが大事なことだとは、なかなか教えてもらえない。
巻末には、毎日の振り返りを助けてくれる「『できたこと』を探す自問集」と、月に1回の振り返りに使えるテンプレートが用意されているので、読んですぐに実践できる。最初は他の人の記入例を見ながら書けるようになっているのも、取り組みやすくてお勧めだ。
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