オムロンは6月8日、2018年度事業戦略説明会を開催した。制御機器事業とヘルスケア事業を強化し、2020年度に売上高1兆円、営業利益1000億円の達成を目指す。
一般には医療機器メーカーとしての印象が強いオムロンだが、主力事業は制御機器にある。古くは今の自動改札につながる無人駅システムを1970年代に開発。また今のATMにつながるオンラインキャッシュディスペンサや、信号の自動制御から発展した交通管制システムなどを手がけてきた。
オムロンは、「イノベーションで社会的課題を解決する技術先行型企業」を自負する。現在も社会的課題の解決を受け継ぎ、労働力の不足、モノづくりの変化への対応する「FA(Factory Automation)」、高齢化の加速、医療費の高騰を背景とした「ヘルスケア」、事故・渋滞の多発や都市環境の改善に向けた「モビリティ」、温暖化の加速に対応する「エネルギーマネージメント」──の4つの分野に取り組んでいる。
オムロン 代表取締役社長 CEOの山田義仁氏は、「そうした社会的課題がある中で、AI、IoT、ロボティクスの技術革新の波が押し寄せている。課題と技術革新をわれわれの事業に取り込み、新たな企業価値をいかに創造するかに挑戦している」と語った。
オムロンは、2020年に向けた長期ビジョン「Value Generation 2020(VG2020)」を掲げ、2017年度から新たな4カ年長期経営計画「VG.2.0」に取り組んでいる。山田氏が社長に就任した2011年度から2017年度までの7年間の実績を振り返った。
売上高は6195億円から1.4倍の8600億円に、売上総利益率は36.8%から4.8ポイントアップし、41.6%に、営業利益は401億円から2.1倍の859億円にと大きく業績を伸ばしている。それに伴い、株価は1780円から6260円へと3.5倍に上がるなど、企業価値も大きく向上している。
「VG.2.0は、2021年から始まる次の10年ビジョンの助走としての位置付け。VG2020の仕上げの4年間であると同時に、次の10年ビジョンの助走、成長の種を仕込む。しっかり技術力を高めるための4年間でもある」(山田氏)
「注目してほしいのは売上総利益率、俗に言う粗利。われわれは、どれだけ“稼ぐ力”があるかとして重視している。VG2.0として継続的に利益を向上させ、成長投資をして回していく成長サイクルに挑戦している。2018年度は、必要な投資をした上で、売上高9000億円を目指す。売上総利益は2835億円で、売上総利益率42.5%まで引き上げたい」と意気込む。
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