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“地球探検”で子どもたちの好奇心を育む--「Google Earth」が目指す教育の形 - (page 2)

藤井涼 (編集部) 井口裕右2018年06月09日 07時00分
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Googleマップと連携した高度な授業プランも実現

――Google Earthのカスタマイズはどの程度できるのでしょうか。

 Google Earthそのものをカスタマイズして外部のコンテンツをGoogle Earth上に表示させることはできません。しかし、主にGoogleマップからエクスポートできる「KML形式」という三次元地理空間情報ファイルを読み込んで表示させることは可能です。

 たとえば、広尾学園高等学校では、地図上にサイコロを振って落ちた地点で大地震に遭遇したという設定を与えて、Googleマップに自治体が公開している避難所情報をマッピングしたり、Googleストリートビューを活用して災害リスクを検証したりしながら、自分たちなりの避難経路を考案し、最終的にはそれをKLM形式でエクスポートしてGoogle Earthに取り込み、プレゼンテーションするという内容の授業を行っています。

 これまでの授業では、地理も歴史も理科も紙をベースに学ぶことしかできませんでしたが、Google Earthでは歴史的な偉人の足跡を辿ったり、さまざまな自然現象が生まれている場所を訪問したり、バーチャルな地球を移動しながら体験・理解することができます。これまではなかった教育の在り方なのではないでしょうか。

――Voyagerは、教育目的だけでなく一般ユーザー向けにも提供されていますが、どのようなコンテンツが公開されているのでしょう。

 旅行、自然、文化、スポーツなど幅広いジャンルのVoyagerが公開されており、Google Earthのメニューから誰でも利用できます。こうしたコンテンツを授業の一環で活用できるのではないかと思います。たとえば、『「おかえり」が聞こえる』と題したVoyagerは、世界中のさまざまな暮らしを紹介したもので、Googleストリートビューでそこに建つ家や家の中の生活を疑似体験することができます。

Voyager『「おかえり」が聞こえる』
Voyager『「おかえり」が聞こえる』

 こうしたコンテンツは、Googleが独自に作ったり世界中のパートナーが企画・制作したりしていて、随時追加しています。Voyagerはメインの地図情報やストリートビューにテキストや画像、動画を組み合わせて制作できるのですが、米国アラスカのカトマイ国立公園を紹介するVoyagerでは、そこに生息するヒグマの様子をライブカメラで観察できる工夫がされていて、非常に興味深いコンテンツになっています。こうしたコンテンツを通じて地球上の自然や多様性に触れることで、異文化理解の体験や好奇心の醸成になるのではないかと思います。

 一方、「I’m Feeling Lucky」という、ランダムに地球上のさまざまな場所を紹介する機能も提供しています。これまで、Google Earthでは地理情報だけを提供してきましたが、2017年のアップデートからテキストや画像、周辺情報などの関連情報を一緒に提供できるようになりましたので、より深く地球を探索してもらえるのではないでしょうか。なお、こうした機能はスマートフォン、タブレット向けのGoogle Earthアプリでも体験できます。

「I’m Feeling Lucky」で表示されたキーシュ島
「I’m Feeling Lucky」で表示されたキーシュ島

地理空間情報の活用シーンを、もっと広げたい

――地理情報データは非常に容量が大きいと思いますが、それをアプリで活用しているのはすごいですね。

 今までも地理空間情報は世の中にあったのですが、研究者や学校が活用したいと思っても手軽にアクセスできない、コストが掛かるなどの課題がありました。そうした中で、Google Earthなどを活用して無料でネット環境さえあれば活用できる環境を提供することで、地理空間情報の活用シーンがもっと広がればと考えています。

 ちなみに、2020年には学習指導要領が改定されて、地理の授業で「地理探求」という項目が追加され、国際理解のために「GIS(地理情報システム)を使いこなせること」という内容が盛り込まれる見通しです。そこで“実際に何をすればいいのか”と悩んでいる教員の皆さんに対しては、Google Earthで地球を探求するというところで、GISに触れながら好奇心、探究心を育む授業を展開してもらえたらと考えています。

 加えて、私たちはGoogle Earthの関連サービスとして「Google Earth Engine」というツールを提供しています。これは、過去40年分の衛星写真と200以上の地球観測データに、PCとネット環境だけでアクセスできるツールで、これを活用した「タイムラプス」という機能では、地球上のさまざまな地点の移り変わりを衛星写真のタイムラプスで見ることができます。衛星画像を1年分ずつ1ピクセル単位で検証して雲のかかっていない画像を探し出して1枚の画像にしており、それを1984年から2016年まで重ねてタイムラプスにしているのです。もちろん、これを実現するためには膨大なコンピューティングが必要になりますが、Google Earth Engineならば手軽にアクセスできるようになります。

 たとえば、ドバイやラスベガスの街がどのような発展の歴史を辿ってきたのか、南米では森林伐採がどれくらい進んできたのか、アフリカにある湖がどう干上がっていくのかなどの様子などを観察でき、そこから「なぜ、こうした現象が起きたのか」を調べるきっかけにできます。授業で活用した場合も「なぜ森が消えてしまったのか」「なぜ街は発展したのか」など、子どもたちの好奇心を刺激するのではないでしょうか。言葉や静止画では伝えることのできないリアルな地球の姿を体験できるのではと考えています。

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