Waymoが、自動運転のミニバン「Chrysler Pacifica Hybrid」の保有台数を大幅に拡大しようとしている。Googleの自動運転車プロジェクトを引き継いだWaymoは、Fiat Chrysler Automobiles(FCA)と提携し、保有する自動運転車両に6万2000台のChrysler Pacifica Hybridを追加する。すでにテスト用車両として使用中の600台からの大幅な増加で、自動運転のSUV「Jaguar I-PACE」を最大2万台調達するJaguar Land Roverとの提携に続くものだ。
Waymoは多くの車両を保有することになる。かなり大規模な配車サービスを構築するのに十分な数だ。Uberが世界全体で抱える大勢のドライバーと比べると見劣りするかもしれないが、Waymoの車両は、理屈の上では1日24時間走行可能で、燃料補給か再充電の時しか停止しないため、その差はもう少し縮まるとみられる。
現時点で、これらの車両はWaymoの一般向け配車サービスで使用される自動運転車の一部として採用されるだけの予定だ。この配車サービスは今のところ、2018年末までにアリゾナ州フェニックスで開始の予定だ。だが、Waymoが自由に使える車両がこれだけ多いと、法的な問題がなければ、他の場所も候補となる可能性もある。
おそらく、さらに大きなニュースは、WaymoとFCAが共同で、この技術を一般販売車両に持ち込むことについても協議しているというものだ。つまり、一般の人が購入できる車両に搭載するわけだ。配車サービスの構築に特化する方針からの大きな方向転換で、Waymoの技術に対する需要が大きく変化する。最大の課題は、技術を安価にしなければならないことだろう。
Waymoの最高経営責任者(CEO)であるJohn Krafcik氏は以前から、他社の試作品のセンサパッケージが何十万ドルもするのと比べて、Waymoのシステムにかかる費用は約7500ドル(約82万円)だとして、その値頃感を宣伝している。大きな節約だとは言え、7500ドルものオプションを付ければ、Chrysler Pacifica Hybridが非常に高額なものになってしまう。それも、途中の利ざやがゼロというありえない想定をした場合の話だ。
さらに、上部にセンサを付けた自動車を買うことに人々が抵抗を感じないか、という疑問も当然ある。
今後どうなるかはまだ分からない。しかし現時点で明らかなのは、実現性のある自動運転システムの開発で一歩先を行っているとみられるWaymoが、その実現に一層近づいたらしいということだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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