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AIによるビジネス変革の可能性--Microsoft Digital Transformation EXPOレポート

西中悠基 (編集部)2018年05月17日 19時32分
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 ライブイベントと伊勢の老舗料亭という、AIとは程遠いように思える業界。しかし、デジタルソリューションが広く活用される現代においては、どのような業界でもAIは活用できる。ライブイベントを手掛けるエイベックスと、料亭や小売業を営むゑびやは、ともにMicrosoft AzureをプラットフォームとしたAIを活用し、ビジネス変革を成し遂げた企業だ。

 5月15日に開催された「Microsoft Digital Transformation EXPO」のパネルディスカッション、「AIでここまでできる! 顧客接点改革の可能性」では、音楽事業としてライブイベントも手掛けるエイベックス CEO直轄本部 デジタルクリエイティヴゼネラルマネージャーの山田真一氏と、老舗料亭を営むゑびや 代表取締役の小田島春樹氏が登壇。両社が活用するAIの事例を紹介した。

エイベックス CEO直轄本部 デジタルクリエイティヴゼネラルマネージャーの山田真一氏
エイベックス CEO直轄本部 デジタルクリエイティヴゼネラルマネージャーの山田真一氏
ゑびや 代表取締役の小田島春樹氏
ゑびや 代表取締役の小田島春樹氏

観客の顔を基に、AIが感情を数値化

 まず登壇したのは、エイベックスの山田氏。エイベックスは、Microsoft AzureのCognitive Servicesを使用して、ライブ来場者の感情を読み取るソリューションを展開している。ライブ会場に、観客に向けたカメラを設置。撮影した画像を学習済みのAIで分析する。これにより、どの部分で笑顔が増えたのか、驚いたのか、悲しみが表れたのか、といった観客の時系列での感情の推移が定量的に可視化できる。また、どの年代の反応がよかったのか、などといった、年齢や性別などの属性情報も付け加えられる。

 エイベックスのソリューションでは、まずカメラで観客を撮影し、イベント会場に設置した処理用PCで顔だけ切り取る。映像をそのままアップロードすることもできるというが、ライブ会場の通信環境は必ずしも良好とはいえないため、あえて下処理をしているという。処理後の画像はクラウドに送信し、AIで分析。結果をデータベースに格納して可視化するという流れだ。このソリューションでは、感情分析のほか、男女比や年代という属性のデータも得られる。これまではアンケートや購買情報から推測するしかなかった属性情報を、生のデータで取れるようになることが強みだと山田氏は話す。

感情データを可視化したグラフ。青線が喜びの、赤線が悲しみの感情を示す。
感情データを可視化したグラフ。青線が喜びの、赤線が悲しみの感情を示す。

 また山田氏は、講演会場や学習塾にも応用できるのでは、と語る。学習塾を例に挙げると、生徒が講義内容を理解できているか、感情分析AIにより感情分析AIにより可視化できる。AIを導入した施策により、さまざまな領域で効率化が可能になるかもしれないと山田氏は語った。

予想的中率が90%近いAIで、老舗料亭の業務効率を向上

 続いて登壇したのは、ゑびやの小田島氏。三重県伊勢市で飲食店やテイクアウト事業、小売業を営むゑびやでは、2012年からクラウドやAI、機械学習などを活用した、さまざまな変革に取り組んできたという。

 「サービス業で低賃金の代名詞である飲食業と小売業、この問題を解決するためにAIを活用している」(小田島氏)。スピーディな料理提供のほか、商品開発や従業員の労働環境改善、材料生産者との協力体制などにAIを活用しているという。

ゑびやがAIを活用する分野
ゑびやがAIを活用する分野

 ゑびやの飲食業では、マシンラーニングを活用し、来客数を予測している。翌日の来客数が予測できれば、どの商品をどのくらい用意すればいいのか、などといったことが把握できる。これにより、手が空いているスタッフを他の店舗の応援に行かせたり、小売業の内職を分担してもらうなどして、従業員配置を適正化する。来客予測は、前日、もしくは1週間先のデータを予測。この予測は、現時点で90%近い的中率を誇っているという。また、来客予測を応用したオペレーションとして、材料の自動発注も検討しているという。来客数とメニューが予測できれば、必要となる材料もわかる。この予測データに基づいた材料を、生産者に自動発注する仕組みだ。

 同時に手掛ける小売業では、店舗にて画像解析AIを展開している。店舗前にある道路の通行人数をカウントして、男女比や年齢などの属性を測定。また、入店者の属性や、購入者の属性も測定する。通行人数と入店者・購入者の各属性を比較することにより、どの性別、どの年代への商品展開を進めるべきか、といったことが把握できるという。

 小田島氏は現状、自分たちが収集したデータをひとつにまとめて見られないという課題を挙げる。顧客への対策は、画像解析AIのデータとPOSデータを同時に見ることで取ることができるが、このようなシステムはなかなか見つからないという。そこで立ち上げた「EBILAB」という新事業下において、タッチポイントBI、さまざまなデータを収集して、複合的にひとつの画面で見られるようなプラットフォームを、6月末を目途に開発していると語った。

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