4月14日〜4月30日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。Appleは4月26日、Wi-Fiルータ製品群である「AirPort」ベースステーションシリーズの販売終了を発表した。日本では商標の関係から「AirMac」と呼ばれていた製品だった。新たな開発や製造は行われなくなり、Appleの小売店やオンラインストアなどの流通している在庫がなくなり次第、販売終了となる。また今後5年間は修理や部品の提供が行われる。
AirPortは1999年に発売され、当時はちょうどドラゴンクエストの「メタルスライム」のような形状と色だった。その後2003年に色が白に改められ、同じくドラクエの「しびれくらげ」の触手なしのような形状になった。電源やネットワークのケーブルが足のようにも見えていた。p>
2007年には形が角が落とされた正方形になり、平べったい筐体へと改められた。ちょうどMac miniや初代Apple TVのような形状となり、HDDを内蔵してMacをバックアップできるTime Capsuleシリーズも登場した。
現行モデルは今度は新型Apple TVの背を高くしたようなスタイルになり、2013年に802.11acをサポートして以来、アップデートはされなくなった。
Appleは無線ネットワークをいち早くMacに搭載できるようにし、そのネットワーク環境を構築する製品としてAirPortを販売してきた。またMacのバックアップという新たな用途を与えることで付加価値を増してきた。
AirPort発売当時は無線ネットワークそのものが一般的ではなく、家の中でネットワークをつなぐためにはケーブルを這わせるしかなかった。しかし現在ではノート、デスクトップ問わずパソコンにはWi-Fi機能が搭載され、スマートフォンやタブレット、スマートホーム機器などが当たり前のようにWi-Fiを利用する。またケーブルテレビや光回線のためのルータにもWi-Fi機能が入り、ルータそのものが不要なことも多い。
自宅の中のネットワーク機器は既に充実しており、また新たな活路となったバックアップ機器としての役割もクラウドが担うようになったことから、その役割を終えた、という判断が下されたのではないだろうか。
また、Appleのルータのアップデートの遅さにユーザーが離れた経緯もあった。筆者もその一人で、2008年のTimeCapsuleを利用してきたが、2.4GHz帯、5GHz帯のネットワーク干渉と電波の弱さに悩み、2015年にGoogleブランドで登場したWi-Fiルータ「OnHub」に乗り換え、問題を解決した経緯があった。
現在OnHubは「Google Wi-Fi」と名前を変え、日本でも発売されている。アプリによるセットアップとルータ監視機能、スマートホーム連携機能、そして複数のルータを連携させて電波の届きにくさを改善するメッシュ機能などが搭載され、1台200ドル以下という価格から、Wi-Fiの新しい流れとなり得る。
Appleはそうした自宅内のネットワーク機器から撤退したことは、Wi-Fiルータ以外の方法でスマートホーム連携などの付加価値を発揮する判断を下したことの表れだろう。
アップル、「AirMac」ルータの販売を終了へ(4/27)Appleは2017年12月に音楽認識アプリのShazamを買収し傘下に収めたが、この買収について欧州委員会が調査を開始した。同委員会はShazam買収によって、欧州経済領域の競合他社に関するデータをAppleが入手することが、Apple Musicへの顧客誘導を可能にするとしている。
Shazamは、スマートフォンやスマートウォッチでマイクを通じて今流れている音楽を聴き取り、その曲名、アーティスト名を表示する機能を提供している。iPhone版では、聞き取った音楽を聴けるApple MusicやiTunes、Spotifyなどの音楽サービスへのリンクを用意する。
また音楽アプリと連携させることで、聞き取った音楽を自動的にプレイリストとして保存してくれる。たとえばApple Musicと連携すれば、街でShazamが聴き取った音楽のプレイリストを自動的に保存し、後から振り返ることができるようになるのだ。
Shazamは、どんな音楽が、世界中のどの街で、いつ流れているのかを収集していると同時に、どのユーザーがどの音楽サービスで聴いたのか、という情報も持っている。こうしたデータについて、欧州委員会は「競合の音楽ストリーミングサービスが競争上不利になる恐れがある」としている。
Apple買収後も、Shazamは引き続き、SpotifyやDeezerといったApple Musicの競合サービスに対してのリンクを提供しているが、欧州委員会は、Apple Musicだけに潜在顧客を誘導した場合の影響についても調査するという。
Appleは現在、同社のビジネスの指標について、iPhoneの販売台数からサービス部門の売上高へと移そうとしている。アプリ購読やiCloud追加ストレージなどの定期支払いをしているユーザー数は2億5000万人に上っており、その数字を増やして行こうとしている。この中で最も活発なのがApple Musicで、直近の数字は4800万人。毎月200万人増加するペースを維持してきた。
そのApple Musicを加速させる役割を担う点で考えれば、ShazamをApple Music成長に有利に活用することは当然であり、現在のShazamアプリを公開したままにしておけば、欧州委員会の懸念が的中することになる。それを避けるには、Appleは現在のShazamアプリを取り下げ、Apple MusicやSiriの1つの機能として残すべきだ。
一方で、AppleがShazamの音楽認識以外に興味を持っていた場合はどうなるだろうか。ShazamはApple買収に至る直前、ARと広告を活用した新しいメディア体験について、その取り組みを加速させてきた。ARはAppleが現在最も重要視するソフトウェアの機能であり、Apple買収がARを目的としたもので合った場合、Shazamアプリを現状のまま残しておくことは可能だろう。
アップルのShazam買収、欧州委員会が「綿密な」調査を開始(4/24)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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