バーチャルYouTuber市場参入は「強みを生かせる」--グリー3Q決算

 グリーは4月27日、2018年6月期第3四半期(2017年7月~2018年3月)の連結決算を発表。売上高は589億4600万円(前年同期比で27.8%増)、営業利益は78億1400万円(同39.8%増)、経常利益は83億9300万円(同16.8%増)、純利益は57億7900万円(同59.5%減)となった。

 四半期ベースで見ると、売上高が178億7000万円(前四半期比で15億9000万円減)、営業利益は27億8000万円(同4億4000万円増)、経常利益は26億9000万円(同増減なし)、純利益は18億9000万円(同1億円減)。売上高は計画未達だった一方で、営業利益は計画を上回ったという。

グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏
グリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏

 主力のゲーム事業において、全体のコイン消費は前四半期の200億コインから176億コインに減少。国内で見ても104億コインから90億コインへと減少している。新作タイトルとして、3月にはアイドルグループ「NEWS」をテーマにした「NEWSに恋して」、4月にはアニメなど多方面で展開しているコンテンツ「ラブライブ!」をテーマにした「ぷちぐるラブライブ!」をリリース。立ち上がりは好調と説明する。

「NEWSに恋して」
「NEWSに恋して」
「ぷちぐるラブライブ!」
「ぷちぐるラブライブ!」

 かねてからゲーム事業については、運営強化と海外展開によって成長を図る考えを示していたが、その事例として「アナザーエデン 時空を超える猫」と、北米向け「DanMachi - MEMORIA FREESE」(※日本では「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか~メモリア・フレーゼ~」)を紹介。特にDanMachiでは、北米で日本版を上回る売り上げがあったという。今後欧州やアジアでの展開も計画。そして成功事例を作り、今後の海外展開にも生かしていきたいとしている。

「アナザーエデン 時空を超える猫」の運営強化事例
「アナザーエデン 時空を超える猫」の運営強化事例
「DanMachi - MEMORIA FREESE」の海外展開について
「DanMachi - MEMORIA FREESE」の海外展開について

 コンソールゲーム機向けの展開として、第1弾として発表していたNintendo Switch向け「釣り★スタ」に続き、第2弾としてアナザーエデンをNintendo Switch向けとして開発するという。

 第4四半期の業績予想については、売上高185億円、営業利益22億円、経常利益21億円、純利益12億円と、増収減益を見込む。売上高は既存タイトルの運営強化や海外展開での貢献、さらに3月から4月にリリースされた新作タイトルの貢献で増収を見込む。一方で投資対効果が見込まれる事業への、広告宣伝費をはじめとした先行投資を行うため減益を見込むとした。

インフルエンサーとアニメ関連の両方が狙えるバーチャルYouTuber市場

 グリーでは4月5日に、ライブエンターテインメント事業に参入することを発表。俗に“バーチャルYouTuber”“VTuber”と呼ばれるバーチャルキャラクターに特化した事業へ、100億円規模の投資を発表。さらに4月7日には、このうち約40億円を投資プロジェクト「VTuberファンド」で活用することも明らかにしている。

 この日行われた決算説明会で登壇したグリー代表取締役会長兼社長の田中良和氏は、「バーチャルYouTuberとライブエンターテインメントを掛け合わせた領域には、大きなビジネスチャンスがある」と語る。「プロダクション」「配信」「IP展開」の3つの基軸で事業展開していく考えだ。

ライブエンターテインメント事業における3つの軸
ライブエンターテインメント事業における3つの軸

 「この関連事業を大規模で展開できることは、我々の強み」として、ライブエンターテインメント事業参入の背景も説明。たとえばバーチャルキャラクターの創出などについては、技術面から3Dキャラクターを魅力的に見せることは、これまで手掛けてきたゲームやVR事業のノウハウを活用。またそのキャラクターを長く育成や運用していくことは、ゲームサービスの運用力が発揮できる領域。さらに興味を持っているクリエーターに対してのサポートについても、これまでさまざまなIPタイトルを扱ってきたノウハウや投資を通じて活用できるという。そして「こうしたノウハウの蓄積に資金力や収益力をかけ合わせ、大規模かつ高いレベルで展開できればこの市場は大きなものになる」と語った。

ライブエンターテインメント事業展開における強み
ライブエンターテインメント事業展開における強み

 この事業を担うWright Flyer Live Entertainmentの代表も務める、グリー取締役上級執行役員の荒木英士氏は、「私たちがこれまでVR事業をやってきたからこそ、始めやすい事業」と説明。これまで手掛けてきたVRコンテンツで重視していたのは、3D空間のなかでアニメテイストのキャラクターをいかに魅力に見せるか、そしてユーザーとのインタラクションについてであり、これはバーチャルキャラクターに通じるという。

 市場規模の発展性については、この事業に含まれるものはYouTuberやインフルエンサーの市場に加えて、アニメ関連の市場もあると説明。人間では展開しにくいライセンスビジネスやアニメ、ゲーム化などのキャラクタービジネス、興行などにも展開しやすいフォーマットになりえるとし、大きな可能性を秘めているという見解も示した。

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