KDDIは4月16日、ノキアソリューションズ&ネットワークス、Hexagon AB、KDDI総合研究所と、コネクティッドカー向けのLTE一斉同報配信技術(一斉同報配信)の実証実験を4月2〜20日、北海道豊頃町の公道にて実施し、世界で初めて成功したと発表した。自動運転時代のコネクティッドカーへの効率的な運転支援情報の配信に向けたもの。
4社によると、レベル4(無人運転)の自動運転車が安全な運転を実現するためには、車両が走行状態を常時監視し、正確な道路構造物情報を把握するほか、人や障害物など動的情報をリアルタイムにフィードバックするシステムの構築が欠かせないという。また同時に、複数の併走するコネクティッドカーに対し、前方の車両が落下物や異常気象などを後方の車両に通知する機能や、高精度位置測位のための補強情報の配信など、大量の「運転支援情報」を一斉に効率よく配信する技術が求められている。
今回実施した実証実験では、将来の完全自動運転時代に必須となる運転支援情報の一斉同報配信(eMBMS)を実証するための実験ネットワークを実フィールドに構築。実際のフィールドにおいて、走行するコネクティッドカーに対する配信成功率やエンドツーエンド遅延を検証した。また、位置測位の補強情報の配信における個別配信と一斉同報配信での測位結果の比較などを実施。なお、今回は一斉同報配信の性能評価を主眼に置くため、車載測位システムと測位アルゴリズムの評価は対象外としている。
現在主流の「個別配信」では、ひとつの電波帯域で1対1の通信を行うため、多くの電波帯域が必要だった。これに対し、今回実証した一斉同報配信では、多くの相手に対しひとつの電波帯域を共用するため、電波の利用効率を大きく向上可能。また、それにより将来、コネクティッドカーの普及台数が1000万台規模に増えたとしても、タイムリーで安定的な情報の受信が期待できるという。
また、これまで一斉同報配信は、スタジアムにおける観客への映像放送などに用途を限定し用いられてきたが、今回コネクティッドカー向けの情報配信に一斉同報配信を用いるユースケースを新たに定義し、世界初のフィールド実証に成功した。
4社は、今後も安全な自動運転社会を実現するため、各社の持つ要素技術を連携しながら、安心・安全なカーライフの実現を目指すという。
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