カリフォルニア州で男性が死亡した「Tesla Model X」の衝突事故について、米国家運輸安全委員会(NTSB)による調査が継続中だ。Teslaも米国時間4月12日まで調査に協力していたが、今後の調査で同社の役割は縮小する見込みだ。
Teslaの自動運転車が起こした死亡事故について、同社がNTSBによる調査の当事者ではなくなったことを、TeslaとNTSBの双方が声明で明らかにした。原因は、調査結果がまとまる前に情報を公開したいとするTeslaの姿勢にある。ただし、これがどちらの決断によるものかについて、両者の意見は相違している。
Teslaは米国時間4月11日に出した最初の声明の中で、「TeslaはNTSBとの合意を破棄した。その理由は、NTSBが『Autopilot(オートパイロット)』機能に関する情報を公開しないよう要求したことだ。このような要求は、公共の安全を大きく損なうものだと考える」と述べ、「われわれは透明性が大切であると信じている。したがって、今後1年以上にわたって情報の公開を禁じるという合意を受け入れることはできない。ただし、正式な調査当事者でなくなったとしても、NTSBへの技術的支援は継続する」としていた。
一方、連邦政府の調査機関であるNTSBは、12日に出した声明の中で、Teslaの調査当事者としての地位を剥奪したと述べている。その理由は、「NTSBが詳しく調査して裏付けを取る前に調査に関する情報を(Teslaが)公開」したためだ。
NTSBの声明を受け、Teslaは同じ12日に新たな声明を発表し、次のように述べた。「われわれは先週、NTSBとの協議において、今後1〜2年にわたって実施される調査が完了しないうちにこれ以上の発表を行えば、調査に関する合意の当事者とはみなされなくなるとの通告を受けた。10日の時点で、われわれはこの合意から離脱することを決定し、Autopilotに関して誤解を招くような主張を正すために声明を発表した」
Teslaはさらに、NTSBが不完全な情報を繰り返しメディアに発信しており、この行為がNTSB自体の規則に違反していると主張。「われわれはこうした行為が正しいとは考えておらず、議会に対して正式に苦情を申し立てるつもりだ。米情報公開法(The Freedom of Information Act)に基づく要求を提出し、NTSBが米国で最も安全な自動車にばかり目を向け、安全性のきわめて低い自動車を無視している論拠を明らかにしたい」とした。この声明には、Teslaの「Model S」とModel Xがいずれも米道路交通安全局(NHTSA)の試験でサブカテゴリを含む全カテゴリで5つ星の評価を得たことも書かれていた。
「調査当事者としての地位」という言葉がよくわからない人もいるだろうが、NTSBは声明の中で「調査当事者として調査に参加すれば、調査初期の事実収集段階において、当事者間の取り決めに合意したすべての当事者と調査情報を共有できる特権が与えられる。この情報共有により、調査当事者は、安全の確保に必要な対策をただちにとるために十分な情報を入手できる」と説明している。したがって、Teslaは今後も調査に関与するが、以前のようにあらゆる情報を得ることはできなくなる。ただし、NTSBがTeslaの自動車に関して進めている他の調査については、Teslaは引き続き当事者の地位にとどまる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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