サイバーエージェントとテレビ朝日が共同で展開しているインターネットテレビ局「AbemaTV」が、4月11日で本開局から2周年を迎えた。多様なジャンルの番組が配信されているなか、開局当初から人気が高いアニメチャンネルが大幅に刷新したほか、声優による生放送帯番組といった新しい試みを開始した。その背景などについて、開局当初からアニメチャンネルを担当しているAbemaTV編成制作本部 アニメ局 局長を務める椛嶋麻菜美氏に聞いた。
AbemaTVは無料で楽しめるインターネットテレビ局とうたう動画配信サービスとして展開。本開局以降、利用者が右肩上がりでの増加を続け、2018年3月時点でアプリのダウンロード数は2800万を突破している。そして開局当初からアニメジャンルについては4チャンネル(のちに5チャンネル)が設けられ、最新作から懐かしい作品まで幅広くラインアップ。一挙放送や声優などのキャスト陣が登場するオリジナル番組も配信し、高い人気を誇っている。
そのアニメチャンネルが、2周年を迎える4月のタイミングで大幅に刷新。最新アニメから話題作までを集めた「Abemaアニメチャンネル」、深夜アニメ作品や声優生放送レギュラー番組、アニソンライブを中心にした「アニメLIVEチャンネル」(アニライ)、世代や性別問わず愛される国民的アニメを中心にした「みんなのアニメチャンネル」の3チャンネル編成に。これまでの5チャンネルからは減ったものの、新作テレビアニメの地上波先行・同時配信や、先行配信の本数をおよそ倍程度に拡大したほか、旧作の新規投入本数も拡充した。
またアニライでは、22時から声優が出演する90分の生放送レギュラー帯番組「声優と夜あそび」を新設。月曜日に緒方恵美さんと内田彩さん、火曜日に小野友樹さんと大坪由佳さん、水曜日に五十嵐裕美さんと三上枝織さん、木曜日に浪川大輔さんと谷山紀章さん、金曜日に関智一さんと佐藤拓也さんという、声優2名ずつ10名が日替わりでMCを担当する。
椛嶋氏によれば、3月時点におけるアニメチャンネルの月間アクティブユーザー数(MAU)は650万人(他チャンネルとの併用視聴を含む)を突破し、アニメ配信サービスでも国内トップクラスに成長したという。またこの数字は、AbemaTV全体のMAUから見るとおよそ半数にあたるものとし、アニメチャンネルの存在感の高さを伺わせた。
ユーザーの動向において特徴的だったのは「AbemaTVで、マス(一般)向けのバラエティなどのオリジナル番組が視聴されたあと、その次に一番見られるチャンネルがアニメ」と振り返る。ひとつの例として、2017年11月に稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんが出演したことでも話題となった「72時間ホンネテレビ」の放送時に、30代から40代女性のユーザーが増えたが、そのあとのタイミングでアニメチャンネルでも同じ層が増えたことを挙げた。
「ほかのマス向け番組を配信した際も、同じような傾向がある。AbemaTVとしてマス向けの企画にいろいろ取り組んでいるなか、当時5つのアニメチャンネルを運営し、コアファンでなくても楽しめる作品を幅広く編成していたことも大きく、受け皿となってユーザーが残ってくれた。その影響も大きかった」(椛嶋氏)。
特にこの1年で強化したのが、テレビアニメの地上波同時・ネット配信先行番組や、劇場アニメなど一般認知のあるタイトルの最速配信。椛嶋氏は「地方の方々が、新作アニメの最新話を、地上波と同時で視聴できるということが認知されていないと感じていた」と語ったほか、いわゆる“懐かしアニメ”に根強い人気があり、年齢層も高めになっていたことから、情報に敏感かつSNSの発信にも影響力を持つ10代後半から20代前半のライトユーザー獲得を狙ったと振り返り、データとしても感覚としても増えた実感を持っていると語る。
3月時点におけるアニメチャンネルを視聴しているユーザーに関するデータとして、地域については約3割が首都圏ユーザーで、7割が地方ユーザーに。また年齢層については、10代後半から30代前半が約60%、30代後半から50代前半が約34%としている。ちなみにAbemaTV全体では10代後半から30代前半が約55%、30代後半から50代前半が約35%としており、大きな乖離はない状態になっている。男女比については、やや男性向けの作品が多いこともあってか7割が男性で3割が女性としている。
こうした取り組みやAbemaTV自体の認知度向上もあってか「AbemaTVでアニメ作品の情報解禁をしたいという声が増えたのが、大きな変化」とも語った。4月から放送する「PERSONA5 the Animation」を例に「(原作である)ゲーム会社とアニメ権利元となる委員会が『ペルソナ5』を世の中に伝えることの手段として、AbemaTVを選んでいただいた。こちらも2017年12月での情報解禁を皮切りに、アニメ放送前から長期スパンでのレギュラー特番を企画し、権利元とも作品の話題化という目標を1つに取り組めています。情報解禁をしたいという意向自体はうれしいことで、影響力を持つメディアだと思っていただけた」と語った。
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