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楽天が「第4の携帯キャリア」へ--本格参入による影響や懸念は

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 楽天は4月9日、総務省から1.7GHz帯の割り当て認定を受けたことを発表した。「第4のキャリア」として携帯電話事業に参入することが正式に決まったことになる。しかし、成熟市場の日本で、インフラ事業者として見れば資金が豊富とはいえない楽天の携帯電話事業参入には不安が多いのも事実だ。改めて、同社が参入する狙いや、それによって起こりうる市場変化などについて振り返ってみよう。

楽天はキャリア事業に「次の成長」を求めている?

 MVNOとして「楽天モバイル」を展開している楽天が、2017年末にキャリアとして携帯電話事業へ参入することを打ち出したことは、大きな驚きをもたらした。実際、楽天は新たに子会社「楽天モバイルネットワーク」を設立し、総務省が実施した4G携帯電話向けの電波割り当てを申請している。

 そして4月9日、同社は楽天モバイルネットワークが申請した1.7GHz帯の周波数帯を獲得したことを発表。携帯電話事業に参入する上で最初のハードルとなる電波を獲得したことで、2019年10月を予定しているサービス開始に向けた準備を進めていくこととなる。


2月27日、「Mobile World Congress 2018」の基調講演に登壇した楽天の三木谷社長。携帯電話事業参入の経緯について説明した

 しかし、なぜ楽天は携帯電話事業に参入したのだろうか。同社の代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏は、スペイン・バルセロナで開催されたイベント「Mobile World Congress 2018」において、2月27日に実施された基調講演に登壇した際、その理由について説明している。

 同氏によると、楽天が携帯電話事業参入を打ち出した背景には、インターネットサービスの利用者がPCからスマートフォンへと大きくシフトしたことが挙げられるという。そこで楽天は、2014年よりMVNOとして楽天モバイルを展開して150万契約を獲得し、個人向けのMVNOとしてはトップシェアを獲得した。その成果に自信を持ったことから、キャリアとして携帯電話事業へ参入することを決めたようだ。


MVNOの「楽天モバイル」で3年間で150万契約を獲得し、個人向けMVNOとしては国内トップの座を獲得したことも、携帯電話事業参入には大きく影響したようだ

 そして三木谷氏は、ネットワークを触媒として顧客とサービスを結び、ユーザーの生活に楽天のサービスを広めていく考えも示している。スマートフォンを軸に、楽天経済圏のさらなる拡大を実現したいというのが、三木谷氏の考えのようだ。しかしながら、目的が楽天経済圏の拡大なのであれば、MVNOの立場でも十分にその役割は果たせるし、そちらの方がリスクははるかに小さい。にもかかわらず、あえてキャリアになるという判断を下した背景には、楽天自身が置かれている現在の立場が関係しているといえそうだ。

 まず国内においては、主力のEC事業で競争が激化しており、米Amazonに引き離される一方、下位のヤフーなどから突き上げられるなど、苦しい立場にある。海外事業に関しても、さまざまな企業を買収しているものの大きな成長には結びつけられていない。国内外で明確な成長の構図を描けていないことから、楽天モバイルの成功によって「まだ入り込む余地がある」と判断した携帯電話事業に参入することで、次の成長エンジンを獲得したいと考えたのではないだろうか。

ワイモバイルとの低価格競争が加速か

 では、楽天が携帯電話事業に参入した場合、どのようなサービスや戦略をもって顧客獲得を進めていくのだろうか。そのヒントの1つは、総務省が周波数割り当ての際に公開した資料「第4世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定に係る審査結果」から見て取ることができる。

 この資料によると、楽天モバイルネットワークは申請時、「現在のMVNOで提供中の料金プランで提供予定」と記述している。楽天モバイルが現在主力と位置付けている料金プラン「スーパーホーダイ」は、5分間の通話定額がつき、通信量が2Gバイトで最も安価な「プランS」を選べば、契約1年目が1980円、2年目が2980円で利用できる。キャリアとしてサービスを提供する際も、楽天は同様の料金体系を採用するものと考えられそうだ。


楽天の現在の主力料金プランは「スーパーホーダイ」であり、携帯電話事業参入後もこれに近い料金体系がサービスのベースになるものと考えられる

 そしてこの料金体系は、ワイモバイルなど大手キャリアのサブブランドを強く意識したものとなっている。そのため、楽天はキャリアのサブブランドに近しい戦略で、通信速度が落ちにくいといったキャリアならではのメリットを打ち出しながら、低価格を求める層の獲得に力を入れることになりそうだ。特に、ヤフーとの連携を強めているワイモバイルは、携帯電話事業と自社サービスとの連携を強化する楽天と戦略的にも近しい部分がある。それだけに楽天とワイモバイルとの争いは、大いに注目されることとなりそうだ。

 一方で大手キャリアのメインブランドは、楽天側の戦略の違いもあり、直接影響を受けることはないだろう。むしろ、楽天とサブブランドとの競争激化によって低価格サービスの競争が激しくなることで、楽天だけでなく低価格サービス全体への顧客流出が増え、影響を受ける可能性が高いといえる。

 特に影響を受けやすいのはNTTドコモではないかと考えられる。ドコモは現在、サブブランドのように低価格を求める層に対する直接的な受け皿を用意しておらず、9割以上のMVNOにネットワークを貸し出すことでそれをカバーしている。しかし、楽天のキャリア参入によって、MVNOとして大手の楽天モバイルの顧客がそちらに移行してしまう可能性がある。また、楽天が混雑時も通信速度が落ちにくいというメリットを打ち出すことで、他のMVNOから顧客を奪ってしまう可能性があるからだ。

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