「コインチェックは3年前から使っていた」--マネックス松本社長が明かす買収の背景

 マネックスグループは4月6日、コインチェック買収に関して、記者会見を開いた。会見には、コインチェックの新代表となるマネックスグループ取締役兼常務執行役の勝屋敏彦氏、同社取締役会長兼代表執行役社長CEOの松本大氏、現コインチェック代表取締役社長の和田晃一良氏、同社取締役COOの大塚雄介氏が出席した。


(左から)マネックスグループ取締役兼常務執行役の勝屋敏彦氏、同社取締役会長兼代表執行役社長CEOの松本大氏、現コインチェック代表取締役社長の和田晃一良氏、同社取締役COOの大塚雄介氏

 今回の買収は、コインチェックの全株式を36億円で取得するもので、4月16日に取得完了を予定している。サービスの全面再開と仮想通貨交換業登録については2カ月を目標に進めており、会社名やブランド名は継続する。今後は経営基盤強化のためIPOも検討するという。また、6日には取り扱い通貨である「Augur」「Dash」「Zcash」の通貨の出金・売却を再開。「NEM」については、日本円での返金を完了しており、今後も継続して取り扱っていくという。なお、NEMの返金原資については、コインチェックの自己資産で返金しており、マネックスの完全子会社化が決定する前に完了したとしている。


サービス再開に向けたスケジュール

今後の展開

 松本氏は、今回の買収について「マネックスグループは、新しい時代のお金をデザインするのが創業理念。コインチェックは仮想通貨ビジネスの世界的な先駆者であり、マネックスの金融機関としての経験と未来のマネーを実現するという理念、コインチェックの新しい技術と理想をハイブリッドすることで、新しい時代の総合金融機関を作っていく」とし、コインチェックの持つクリプトアセットバンク機能と、証券機能を中核としたマネックスの強みを組み合わせたいと語った。


マネックスグループ取締役会長兼代表執行役社長CEOの松本大氏

 コインチェックについて松本氏は、「仮想通貨交換ビジネスの先駆者であり、世界的なブランド。今回の報道では、日本語、英語のみならず、スペイン語、ロシア語でも報道されている。マネックスは過去に、スペイン語やロシア語で報道されたことはない。それぐらいブランドバリューもあるし技術もある。そういった良いところを我々がしっかり支えることで、お互いに良い形にできると考えた」と評価。一方で、「内部管理体制の強化という社会要請がある中で、取締役と執行役員で分け、執行部にもマネックスの人員を派遣した。これが、今の状況で社会要請にも応えられ、会社の推進にも良い」と取締役から和田氏と大塚氏を外した理由を説明した。また、コインチェックが安定して成長するなかで、和田氏が再度社長になる可能性もあるとした。

 仮想通貨について松本氏は、「私自身は3年ほど前からコインチェックを利用しており、仮想通貨を個人的に持っていた。また、勉強のために秋葉原でグラフィックボードを購入して自作PCを作り、マイニングをはじめていた」と、もともと興味を持っていたという。将来性については、「大変重要な資産クラスになる。時価総額は一旦50兆円まで到達したが、これは本当に無視できない数字。一度にここまで増えた資産クラスは今後も伸びてくるだろう」とし、「(主要な資産クラスである)金よりも軽く持ち運びも自由。支払手段としても資産としても、もっとメジャーになると考えている。仮想通貨・暗号資産については大変大きな未来を信じている」とした。

 買収の経緯については、「以前から和田氏、大塚氏は存じ上げていた。事故が起きた直後に、何か我々でできることはないかという連絡はした。その後、全くコミュニケーションはなかったものの、3月半ばになり、コインチェック側から話がしたいとのことで一気に進んだ」としている。また、36億円という買収額は、売上や取扱高を見ると割安とする声もある。記者からの「良い買い物だったのか」という質問については、「M&Aはある意味で結婚であり、買い物とかではなく、コインチェックという会社とファミリーになり、新しいサービスを作れることに大変エキサイトしている。そういう意味では、素晴らしい出会いだった」とした。

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