シャープは4月5日、透明なNFCアンテナを搭載したディスプレイを開発したと発表した。スマートフォンやICカードを画面にかざすことで決済や認証ができる。
NFC(Near Field Communication)は、スマートフォンや交通系ICカードなどに採用されている近距離無線通信技術。レジ横などに外付けのカードリーダを置き、対応している店舗が多い。
開発したディスプレイは、透明化したNFCアンテナを画面上に配置することでディスプレイとカードリーダを一体化。タッチする場所をディスプレイ上で明確に示せるほか、通信結果が分かりやすいため、直感的に使えることがポイントだ。
従来、非透明だったNFCリーダを、タッチパネル技術の応用により透明化。タッチパネルにも使用している極細線「メタルメッシュ」技術をさらに細くすることで、透明度を高めた。これにより、アンテナ層の光透過率は80%以上を確保している。
固定型に加え、ディスプレイ全面で複数の同時検出ができるマルチタッチ型も開発。マルチタッチ型はアンテナ技術の確立が難しく、感度や誤認識などの課題もあったというが、回路技術などにより、現在42型で数十カ所での検出に成功しているという。
発表会では、20型から現在最大サイズとする42型までの透明なNFCアンテナを搭載したディスプレイを展示。複数のNFC対応カードを使ったマルチタッチを披露したほか、ディスプレイ上におかれたトランプカードを認識し、ディスプレイ全面で複数の同時検出ができるカードゲームなどの参考展示も行った。
小さなサイズへの展開も可能で、スマートフォン程度のサイズであれば、対応できるとのこと。自動車内への導入も見据えており、シャープが展開する、自由な形状のディスプレイを設計できる「フリーフォームディスプレイ」との組み合わせも可能としている。
シャープでは、ディスプレイにさまざまな機能を搭載するディスプレイ開発を続けており、今回のディスプレイもその一環として開発されたもの。2014年からプロジェクトがスタートし、固定型は2019年、マルチタッチ型は2020年をめどに量産を開始する方針だ。
シャープディスプレイデバイスカンパニー開発本部本部長の伊藤康尚氏は「ATMや券売機、コンビニなどから普及させていきたい。キャッシュレス化の普及により、今後さらに使用シーンは増えていくことを考えるとかなり大きなボリュームの市場になると予想している」と市場予測について話した。
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