ICタグとリーダーとのあいだで無線データ通信できるRFID技術は、FeliCaやNFCによる交通系ICカードやスマートフォンの非接触通信などで身近な存在だ。また、リーダーから数m離れたタグと通信できるタイプのRFID技術は、店舗における精算用レジや物流の現場で活用されつつある。
一般家庭でもRFIDタグにはさまざまな用途が考えられるものの、リーダーとアンテナの設置、リーダーへの電源供給、ネットワークの構築といった作業が必要で、手軽さに欠ける。家庭内での利用が進まない理由の1つは、手間がかかることかもしれない。
このような状況を打破しようと、Walt Disneyの研究機関Disney Researchは、RFIDリーダーやネットワーク通信機能を組み込んだLED電球を開発。電球用ソケットにねじ込んで構築、拡張できるRFIDシステムを提唱した。
RFID対応LED電球を含むシステムは、Disney Researchとアデレード大学、カーネギーメロン大学(CMU)の研究者チームが開発。RFIDリーダー、リーダー用電源、アンテナなどを組み込んでおり、一般的なLED電球と同じくE26サイズのソケットに取り付けられる。無線LAN(Wi-Fi)通信機能も備え、管理システムと無線通信可能。電源やネットワークを敷設する必要がないため、導入しやすい。
このシステムで利用可能なタグは薄いシート状で、利用したい場所や物に貼り付けて使う。タグ情報の読み取り可能なエリアは、RFID対応LED電球を頂点とする120°の円すい形内で、最大4.5m離れた範囲まで。電球が床から高さ2.5mの位置にあると、底面の直径が7m、高さが2.5mの円すい内にあるタグの情報が読み取れる。
タグは家具や家電品のほか、スマートフォンや各種リモコン、人間に取り付けて使える。例えば、タグを付けた物の置き場所を探したり、タグを付けた人を目的の部屋まで案内するために進行方向の電球を点滅させたり、といった応用が可能だ。ボタン付きのタグを使えば、ボタンを押してから一定の時間が過ぎた時点でユーザーがいる場所の電球を点滅させるタイマーのような使い方もできる。
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