Oculus Goは、新しい技術領域に踏み込むようなものではない。6自由度(6DoF)のトラッキングを実現しているわけではないので、前かがみになったり、VRで現実の空間を歩き回ったりはできない。Gear VRやDaydream Viewと同様、動かせるのは頭だけである。付属のコントローラは、クリック式のタッチパッドとトリガーボタンが付いているだけで、Gear VRやDaydream Viewのスティックタイプのコントローラとほとんど変わらない。簡単なポインタとして機能し、ゲームやアプリでは単純な操作に使う。つまり、Oculus Goは基本的に、スマートフォン不要のGear VRということだ。
今後登場予定のLenovoの「Mirage Solo with Daydream」やHTCの「Vive Focus」は、同じくスタンドアロン型のVRヘッドセットだが、理論上はOculus Goより高性能である。室内を少し動き回ることもできる。だが、どちらもOculus Go並みの低い価格に抑えられるとは考えられない。
199ドルという価格は、スマートフォンを併用するGear VRと比べて、70ドル高いだけである。それでいて、ヘッドセットのデザインはずっと洗練されている。GoogleのDaydream Viewヘッドセットのように、アイマスクの部分はもっと柔らかく、ラバーフォームに近い。顔に心地よくフィットし、きつすぎなかった。ヘッドストラップは、Oculusによると、いろいろなヘアスタイルに対応できるように再設計したのだという。装着と取り外しも簡単だ。
発売日はまだ発表されていないが、Facebookの開発者会議「F8」に合わせて5月までには発売されるだろう。Mark Zuckerberg氏は現在、Facebookをめぐる数々の問題で多難の時を迎えており、そうした問題がFacebook主導のVRヘッドセットに対するユーザーの関心にどのくらい影響するのかは定かではない。筆者としては、Oculusのゲームやアプリは好きだし、エコシステムとしてはDaydream ViewよりGear VRの方が好みだ。
Oculus Goは、手軽なパッケージで初めてVRを体験する人を想定すれば、多くのアプリの呼び水になる。だが、それ以上のユーザーを獲得できるだろうか。VRは、一般家庭への普及という点で、すでに難航してきた。Oculusが狙っているのは明らかに、プレゼント向きの価格戦略であり、その点は「Amazon Echo」と同じようなものだ。Oculus Goは最先端技術の製品ではない。それでも、VRを一度も試したことがない多くの人にとっては、十分に魅力的だと考えられる。ただし、それは昨今のFacebookをVRの入り口とすることに抵抗がない人に限られるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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