オンラインセキュリティへの懸念が高まる昨今、簡単な操作で自分のデータをよりセキュアに保つ魔法のスイッチがあればいいのに、と願う人もいるだろう。
Cambridge AnalyticaがFacebookのユーザーデータを不正使用していたことが最近になって発覚したが、消費者プライバシーに関する怒りを買った出来事はそれ以前にもいくつもあった。例えば、億単位の人々に影響した信用調査会社Equifaxへのハッキングなどだ。
インターネットユーザーは、自分たちが訪れた全てのウェブサイトに関する膨大な情報をインターネットサービスプロバイダー(ISP)が蓄積していることに、にわかに気付きつつある。人々は不満を感じているが、これは対処のしようがないことと思われている。
そして、Cloudflareが新ツール「1.1.1.1」で始めようとしていることは、実質的に「魔法のスイッチ」だ。Cloudflareが米国時間4月1日に発表した同ツールは、インターネット接続を高速化するとともに、ISPが利用者のブラウジング履歴を収集できないようにすることを目的とする。消費者が自身のデータに対する管理権限の強化を求める時代、これは大きなニュースだ。
Cloudflareの最高経営責任者(CEO)、Matthew Prince氏はインタビューの中で、「ユーザーが1.1.1.1に切り替えると、オンラインで訪れた履歴はISPに保存されなくなる」と述べた。
インターネットユーザーは1.1.1.1を使うことで、DNSへのリクエストを解決するプロセスをCloudflareに代行させることができる。これは、URL(例:facebook.com)と、インターネット上におけるウェブサイトの真のロケーション、いわゆるIPアドレスとをマッチアップする重要なプロセスだ。
通常、ISPがユーザーに代わってDNS処理を行う。これはユーザーが訪れるすべてのウェブサイトに対して繰り返されている。このプロセスをISPから取り上げると、ISPがユーザーのブラウジング履歴を収集することは困難になる。
それこそが、Cloudflareが新サービスで売り込んでいるメリットだ。料金は無料で、ユーザーのウェブブラウザもしくはOSの設定を変更することにより利用できる。同サービスは、PCだけでなく、ルータやスマートフォンでも利用可能だ。ウェブブラウザに1.1.1.1と入力すると、説明が記されたサイトが表示される。
Cloudflareがユーザーのウェブサイトに対するクエリを処理するなら、同社がブラウジング履歴を収集することはないのだろうか。Prince氏はそうした疑問に対し、実際にはデータを保存することはまったくないと述べた。
Cloudflareは、サードパーティーの監査法人であるKPMGと提携し、同社のシステムを精査して、ユーザーのデータを収集していないことを保証している。Prince氏によると、こうしたプライバシーへの取り組みが、Cloudflareの1.1.1.1と、無料で一般に公開されている他のDNSサービスとを区別するものだという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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