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「シャープは再び“Game Changer”になる」--中計2年目へ向け戴社長がメッセージ

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 シャープの代表取締役社長である戴正呉氏は2月26日、社内イントラネットを通じて、社員に向けてメッセージを発信した。これまでにも社長就任以来、月1回のペースで配信してきたが、今回は2018年に入って最初のメッセージとなった。

 「中期経営計画2年目のスタートに向けて」と題した今回のメッセージでは、「昨年末以降、中国や台湾などへの出張が続き、その後旧正月を終え、ようやく今年初めて日本に戻ってきた。こうした事情から、前回の社長メッセージからしばらく時間が空いてしまったが、本日、2018年最初のメッセージを発信する」とし、2018年に入ってからの2カ月間を総括する内容も盛り込まれた。

 だが、最初に触れたのは、業績についてだ。「2017年度第3四半期までは、売上げ、利益ともに順調に推移してきたが、第4四半期に入ってからは、市場環境の変化などを背景に、厳しい状況が続いている。今年度も残すところ約1カ月となったが、全員がいま一度、気を引き締め、対外公表値の達成に向け、全力で取り組んでほしい」と、手綱を締めるところからメッセージは始まった。戴社長らしい切り出し方だといえよう。

 続いて「4月からは、中期経営計画2年目がスタートする。そこで、このメッセージでは、中期経営計画の完遂に向け、私たちが持たなくてはならない心構えと、2018年度に重点的に取り組むべき課題、『事業ビジョンの具現化』と『飛躍的な売上拡大』について話す」と、今回のメッセージの主旨を示した。

 「中期経営計画完遂に向けた心構え」として、戴社長はあるミーティングで、「飛躍的な事業拡大を果たしていくためには“Game Changer”にならなくてはならない」という話を聞いたことに触れ、「当社の100年を超える歴史を振り返ると、当社は“真似される商品をつくれ”という早川徳次創業者の精神のもと、国産第1号の鉱石ラジオや国産第1号のテレビ、国内初の量産電子レンジ、世界初のオールトランジスタ電卓、世界初の液晶表示電卓、世界初の14型TFTカラー液晶ディスプレイ、液晶ビューカム、カメラ付き携帯電話、液晶テレビなど、人々の生活を変える画期的な商品を数多く生み出してきた。こうした商品には、次々と競合他社が追随してきたが、これは、当社が競争ルールそのものを変え、競争のステージを自らの土俵に持ち込み、そして主導権を握る“Game Changer”であったからだと言える。これこそが、シャープの伝統であり、原点“Be Original.”である」と断言した。

 しかし「直近でも、AQUOS 8Kなど、注目される商品を生み出しているが、これで当社が“Game Changer”であると言えるだろうか。皆さんも自らを振り返っていただきたいが、私は決して満足していない。中期経営計画では、次の100年に向けたトランスフォーメーションの実現、『8KとAIoTで世界を変える』と宣言しているが、これは当社が再び“Game Changer”になるという宣言でもある」と厳しい口調で語り、「8Kエコシステムでは、AQUOS 8Kや8Kカムコーダーといった個別商品に留まらず、放送や医療など、バリューチェーン全体で、これまでにない大きなゲームチェンジを目指していく。自社での研究開発の強化だけでなく、幅広いパートナーとの連携を加速し、事業化につなげていくことが極めて重要になる。8Kエコシステムと同様に、AIoTやさまざまな事業分野で、ゲームチェンジに挑戦していただきたい」と期待した。

IoT事業本部を新設しシャープ製品のAIoT化を加速

 事業ビジョンである「8KとAIoTで世界を変える」の具現化については、8KエコシステムとAIoTに分けて言及した。

 8Kエコシステムでは、米ラスベガスで開催されたCES 2018に、2015年以来、3年ぶりに出展し、米国の取引先やメディアに「8Kエコシステム」の取り組みを紹介したことに触れ、「世界最大の市場である米国は、私たちが8Kエコシステムを構築し、グローバルで8K市場を牽引していくうえで、極めて重要な国のひとつである。4月に米ラスベガスで開催されるNAB 2018にも出展するなど、さまざまな機会をとらえて、積極的に8Kエコシステムの取り組みをアピールする」と語った。

 また、1月25日には、プロサッカークラブ「セレッソ大阪」とのスポンサー契約締結を発表し、「ヤンマースタジアム長居」および公園内へのシャープロゴの掲出や、セレッソ大阪と連携したプロモーション活動の展開、各施設への8K関連製品の導入を進め、「多くの方々に8Kの素晴らしさを体験していただきたいと考えている」と述べた。

 さらに、2月11日に、台湾で開催した鴻海グループの忘年会についても説明。「会場には、CEATECでの展示規模を上回るほどの大きなシャープブースを設け、出席した3万5000人以上の鴻海グループの社員とその家族、さらには約200人のメディア関係者に、8KやAIoTに関するさまざまな商品を体験してもらった」とし、「なかでも、8Kディスプレイつなぎ合わせて作った26メートルの巨大スクリーンに、台湾の故宮博物院が所蔵している『清明上河図』を完全再現した。この展示が、『まるで本物のようだ』と言われ、非常に大きな注目を浴びた。こうした取り組みを足掛かりに、美術や芸術の分野における8K技術の活用を進め、将来的には、全世界に8K博物館を展開していきたいと考えている」とした。


鴻海グループの忘年会

鴻海グループの忘年会ではCEATECでの展示規模を上回るほどの大きなシャープブースが設けられた

 一方で、AIoTについては、CES 2018において、AIやIoT、5G、AR、VR、スマートシティに関する展示が活況であり、各社がしのぎを削って新たな提案を行っていたことに触れ、「このような激しいグローバル競争のなかで、当社が競争優位を構築していくためには、事業間の連携を一層強化し、幅広い事業領域を持つ当社の強みを最大化するとともに、世の中の技術やサービスの進化を的確に捉え、外部の機器メーカーやサービス事業者と幅広く連携することが肝要である」と前置きし、「こうした狙いのもと、1月1日付けで、IoT事業本部を新設した。今後はIoT事業本部が中心となり、シャープ製品のAIoT化の加速や、AIoTサービスプラットフォームの早期確立に取り組むとともに、外部リソースとの協業を積極的に展開することを期待している」と語った。


CES 2018のシャープブース

 また、1月20日に「工業インターネット(Industry 4.0)」、「スマートファクトリー」、「COCORO+サービス」をテーマに、2月24日には「AI」をテーマに、それぞれ勉強会を開催したことを紹介。「今後もこうした取り組みを積み重ね、社員のみなさんの知識の底上げを図り、AIoTの取り組みを活性化していきたい」と述べるとともに、「AIoT戦略の成功の鍵は、社内の連携、すなわち“One SHARP”の実践と、外部リソースの活用である。これからも全社一丸となって、『人に寄り添うIoT』の早期実現を果たしていこう」と呼びかけた。

従来の延長線上にない新しい取り組みを実行する

 最後のテーマとした「飛躍的な売上拡大」では、2018年度の業績目標について触れ「2018年度は2017年度通期業績予想と比べて、売上高で約15%増、3800億円もの大幅な拡大を目指している。しかし、市場環境はより一層厳しくなってきており、この目標を達成するためには、他社との協業など、従来の延長線上にない新しい取り組みを、矢継ぎ早に実行していかなくてはならない」とし、「こうしたなか、最も重要な取り組みのひとつが、鴻海グループとの連携の深化であり、1月8日から3日間に渡って、中国・深センで開催した事業拡大会議を皮切りに、シャープの各事業本部長と鴻海グループの責任者が、さまざまな観点からさらなる連携強化について協議を重ねている」と報告。ここでは、開発強化として、鴻海グループとの技術交流会を継続開催したり、8Kや5Gなど、両社が持つ最先端技術を融合した新たな商品の開発を加速したりといった例を紹介。また、販売拡大では、中国における鴻海グループの販売網を活用し、売上げの大幅伸長を達成したテレビ事業での協業モデルを、白物家電や通信分野でも展開していくことを示した。さらに、ビジネスモデルの連携では、鴻海グループの子会社であるFITと、車載カメラ事業における合弁会社設立を決定したことを紹介した。

 「こうした取り組みを、一刻も早く具体化し、事業拡大につなげてくれることを期待している」と述べた。

 そのほか、「従来から進めてきたASEAN事業の拡大に向けた取り組みも一層強化しており、1月7日にはASEAN営業拡大会議を、2月2日にはASEAN宣伝・プロモーション関係者交流会議をそれぞれ開催し、事業拡大策の具体化を進めてきた」としたのに加え、「下期以降、これまでにない積極的な姿勢で、ASEAN各国におけるPR活動を立て続けに行ってきた。さらに、1月26日と2月6日にタイでディーラー大会を、2月8日にインドネシアで新製品発表会を開催するなど、そのスピードを一段と加速している」と述べ、「飛躍的な売上拡大を実現するためには、事業の軸足を日本から海外へと移していかなくてはならない。中国やASEANのみならず、今後は欧州や米州における事業拡大にも積極的に取り組む。グローバルでビジネスを拡大していこう」とした。

 メッセージの最後に戴社長は、「みなさんの努力のお陰で、2017年度は業績の大幅な回復を実現できる見通しにあるが、こうしたなかで私は、みなさんの心の中に気の緩みが生まれているのではないか、と非常に強く危惧している。当社は、依然として再生の途上にあり、中期経営計画を完遂してこそ、真の再生が成し遂げられるということを改めて認識していただきたい。今日のメッセージを、みなさん一人ひとりが肝に銘じ、2017年度の着地と、2018年度の飛躍に全力を尽くしてほしい」と締めくくった。

 2018年最初のメッセージは、シャープ再建開始時のメッセージに近く、社員に対して、厳しい言葉が並ぶものになった。そして、「依然として再生の途上にある」ということを改めて明確にしてみせたのも特筆されよう。業績回復、東証一部復帰といういい流れのなかにあるシャープに、気の緩みを許さない、戴社長らしいメッセージとなった。

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