海外企業との連携でCTR140%改善も--ドコモとベンチャーの協創事例

 NTTドコモ・ベンチャーズは2月20日、東京都内で「NTTドコモ・ベンチャーズ DAY 2018」を開催し、ベンチャー企業との協創事例を紹介するパネルディスカッションを実施した。(1)動画とスポーツ、(2)AIによるコンテンツレコメンデーション、(3)システム運用の自動化という、3つのテーマの事例を通して、ドコモとの協業を検討しているベンチャー企業にインスピレーションを与えた。

ライブ配信でスポーツを盛り上げるCandeeとの協業

 最初の事例は、スマートフォンの動画メディアを軸にビジネスを展開しているベンチャー企業Candeeとの協業。同社は動画マーケティングで企業をサポートしているほか、2017年6月からは動画を用いたライブコマース「Live Shop!」をスタートしている。

 Candee代表取締役社長 CEOの古岸和樹氏は、このライブコマースを通じて「エンゲージメントが高まると商品が動くことがわかった。これをどう水平展開するか考えたとき、スポーツ領域でやっているところがなかった」ことから、動画やそこで得たノウハウとスポーツを掛け合わせたビジネス展開を模索しているという。


Candee 代表取締役社長の古岸和樹氏(左)と、NTTドコモ スポーツ&ライブビジネス推進室 馬場浩史氏(右)

 一方のドコモは、NTTグループがゴールドパートナーになっている2020年の「東京オリンピック・パラリンピック」、2019年に日本で開催される「ラグビーワールドカップ2019」といった大型スポーツイベントが続くことに加え、2017年6月にはドコモがJリーグと「トップパートナー契約」を締結したこともあり、スポーツとの関わりが増えてきている。2020年には次世代ネットワーク「5G」のサービス開始も見込まれ、特にスタジアムにおいて5Gネットワークなどを活用し、「動画を中心とした映像体験にこだわりたい」(NTTドコモ スポーツ&ライブビジネス推進室 馬場氏)考えだ。


ドコモが検討を進めるスタジアムソリューションの例

 ただ、馬場氏によれば、スポーツ市場ではファンの高齢化が課題になってきているという。そのため、まずはスマートフォン世代の若年層もしくは女性をライトファンとして取り込み、スポーツファンの裾野拡大を図ることが先決と判断し、若年層や女性層に強い動画ビジネスを展開しているCandeeに注目。こうした両社の思惑から、動画とスポーツを軸に据えた新たなビジネスを検討するべく協業に至ったという。

 現在見えてきているビジネスの方向性としては、「試合そのものでエンゲージメントを高めてマネタイズしていくのではなく、その周辺」と古岸氏。海外のスポーツイベントでの実例として、VRを活用した新たな試合の楽しみ方や、ハーフタイムなどにオークションを金額上限からスタートして観客がスマートフォンから落札する「REVERSE AUCTION」を紹介した。


サッカーの試合を360度映像のVRで配信した例

スタジアムやチームの情報などを得られるスマートフォンアプリの例

 また、スマートフォンアプリ上でスタジアムやチームの情報を得られるだけでなく、グッズを購入できたり、ゲーム的要素とともに選手を応援できたりする「スマートスタジアム」のような取り組みのほか、「FANTASY SPORTS」のような仕組みにも注目していると話した。

 FANTASY SPORTSは、ユーザーが仮想のチームを編成することで、そのチームの現実のプレーに応じたポイントを獲得し、他のユーザーと競い合えるオンラインゲームの一種。すでに米国では150億ドル規模の市場に成長し、ユーザー1人あたり約5万6000円を消費しているとされる。古岸氏は、「こういったスポーツ周辺にあるビジネスと、自分たちが得意とするライブ映像を掛け合わせてマネタイズするビジネスができれば」と意気込む。


米国では巨大市場になっているという「FANTASY SPORTS」

 馬場氏も、「ソーシャルやスマホファーストということ以上に、(ファンが)参加することが大事なのかと思う」と話し、アスリートを支援する気持ちも大事にしつつ、Candeeのノウハウを活かしながら、REVERSE AUCTIONのようなイベントを「“超”スピード感をもって」取り組みたいと語った。

 協創事例の紹介の最後には、スポーツに関連する別の協業についても急遽、発表があった。協業相手はリアルタイムトラッキングのシステムを開発するラトビア企業PlayGineering Systems。同社の技術を用いて、ドコモのスポーツ&ライブビジネス推進室が別途進める「スポーツの映像を自動で撮りためて、その映像から自動でスタッツを導き出す」というシステムの実現可能性を確かめるべく、今後実証実験を行っていくとのこと。


PlayGineering Systems CEOのRichard Fomrats氏(左)。これまでリアルタイムトラッキングの技術は高価で、NBAのトップチームくらいしか使っていなかったが、PlayGineering Systemsのソリューションはより安価で多くのチームに利用してもらえるものだとした

PlayGineering Systemsが提供するリアルタイムトラッキングシステムの画面イメージ

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