最後の協創事例は、システム運用の自動化を実現する「オーケストレーション・ソフトウェア」に関するもの。協業相手はアイルランドのシステム開発会社UBiqubeで、同社のオーケストレーション・ソフトウェア「MSActivator」をすでに導入しているNTTセキュリティと、イベント開催当日の2月20日に業務提携したNTTコムウェアが登壇した。
UBiqubeのHervé Guesdon氏は、同社のMSActivatorについて「各社のネットワークセキュリティソリューション製品のインテグレーションを容易にするもの。マルチドメイン、マルチベンダーのインテグレーションや、運用プロセスの自動化が可能で、オペレーションコストの低減を図ることができる」とアピールした。
NTTセキュリティでは、このMSActivatorを数年前から導入している。マネージドセキュリティサービスを提供する同社は、多数のベンダーからリリースされているサイバーセキュリティ製品などを顧客に導入し、運用するため、それぞれで操作性や挙動が異なる製品のハンドリングを容易にするオーケストトレーター・ソフトウェアが必要だったという。7〜8年前に他社のオーケストトレーター・ソフトウェアと比較し、同社取締役CTOの与沢和紀氏は「信頼感と安心感があった。DevOpsをハンドリングするためのSDKがしっかりしていた」ことからMSActivatorを選択したという。
当日に業務提携を発表したNTTコムウェアは、オーケストトレーター・ソフトウェアにMSActivatorを採用する「SmartCloud オーケストレータ」という製品を提供する。SmartCloud オーケストレータによって、これまで運用管理者が手作業で実施していたネットワーク機器やセキュリティ機器の設定をワークフロー化し、設定作業の自動化、運用業務の効率化を実現できる、と同社DevOpsサービスセンタ長の川口篤史氏。「企業インフラ管理業務コストの削減、迅速なビジネス変革への貢献を目指す」ものだとした。
MSActivatorを採用した理由として川口氏は、「(Ubiqubeが)ベンチャー企業でありながら、グローバルでの導入実績が多い。NTTコムウェアが行っているエンタープライズ向けのシステム開発やITインフラの提供において、Ubiqubeの実績と合わせることでシナジー効果発揮できると考えた」と述べた。また、他のオーケストトレーター・ソフトウェアは「シングルベンダーで垂直統合型だったり、対象とする機器が限られていたりする」一方、「MSActivatorはいろいろな機器に対応するEnd to Endの対応が可能。マルチベンダー製品に対応している」ことが大きかったとし、「お客様に、より付加価値あるオペレーションサービスを提供できる」とした。
今後の展開についてNTTセキュリティの与沢氏は、現在マネージドセキュリティサービスを提供している顧客の数を4年で3倍にするのが目標と宣言。しかしながら、「オペレーターの数も同じように3倍にするわけにはいかない」ことから、MSActivatorを有効活用することで人員を今の2倍増にまで抑え、「マルチロケーションでもオペレーションでき、低レベルのエンジニアでもハンドリングできるようにしたい」と話した。また、激増するIoT関連の機器やソリューションにおいて、製品ごとに異なるハンドリングが必要となるため、そういった部分にもMSActivatorを活用できるだろうと述べた。
NTTコムウェアの川口氏は、オープンなプラットフォームであるMSActivatorの利点を活かし、「開発コミュニティでさまざまなコンポーネントを提供して対象デバイスを広げることで、我々も幅広いサービス展開ができるようになる」と将来像について言及。「世界水準のオペレーションサービスを実現する」という同社の理念を体現するためのツールとしても力を発揮することに期待感を示した。
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