USEN-NEXT、連結により業績大幅増--顧客単価を3万円に引き上げるクロスセル施策とは

 USEN-NEXT HOLDINGSは2月21日、2017年12月期の決算を発表した。USENとの連結により、売上高は1142億円(前年同期は458億円)、営業利益は58億円(同3億9600万円の赤字)と業績は大幅増になっている。経常利益は33億円(同4億3600万円の赤字)、当期純利益は4億2700万円(同9億3500万円の赤字)となった。


2017年12月期連結決算概要

 U-NEXTとUSENは2017年に統合。12月1日以降は、ホールディングス体制を敷き、「コンシューマー」「BtoB通信」「業務店事業」「メディア」「業務用システム」と事業を5つに分割。従業員数はグループ総勢で4300名を数える。

 U-NEXTが1~12月の12カ月間、USENが3~11月の9カ月間での変則的な連結決算になっており、統合関連の一時費用も発生しているという。

 U-NEXTセクターでは、映像配信サービス「U-NEXT」を持つコンテンツプラットフォーム事業の売上高が前年比25%増収になったものの、マーケティング活動などの販売管理費の増大とコンテンツ投資によって減益。通信事業を手がけるコミュニケーションネットワーク事業は前期貸し倒れ引当計上後に与信の厳格化、債権管理の強化を実施したため、増収、大幅増益に転じた。


セグメント別業績(U-NEXT Sector)
USEN-NEXT HOLDINGSの代表取締役社長CEOの宇野康秀氏
USEN-NEXT HOLDINGSの代表取締役社長CEOの宇野康秀氏

 USEN-NEXT HOLDINGSの代表取締役社長CEOの宇野康秀氏は「映像配信事業は、利益が追いついていないが、非常に順調に伸びている。契約者数は3年間で2.4倍に増え、前年同期比でも35%増。競合サービスが多いため、あまり目立たないように感じられるかもしれないが、推計シェアは第3位。同業他社は決算の数字から加入者数を落としていると予測でき、現状の売上高は1位なのではと思っている」と自信を見せた。

 USENセクターでは、音楽配信事業が増収増益。これは、音楽配信に加え、ポスレジ、Wi-Fiなどの業務店関連商材の販売増によるもの。

 宇野氏は「現在約62万店舗に音楽配信を提供している。現状の顧客単価は4000円強が平均値だが、ほかのサービスを重ね合わせることで、顧客単価を3万円程度にまで向上させることを考えている。ちなみに業務市場における競合企業は顧客単価が4万8000~7万3000円程度になっており、この数字からもサービスを用意することで、押し上げられるはず」と今後の方針を示す。

 顧客単価を押し上げる商材の1つと見ているのが電力事業「USENでんき」だ。2016年9月に立ち上げ、店舗向けに販売している。「音楽配信によるBGMはいらないと考える店舗の方にも通信や電力は今や必要不可欠なもの。汎用性の高い商品を整え、この部分を伸ばしていく」と戦略を話した。

 このほか、子会社アルメックスが手がける、レジャーホテル、病院向けの自動精算機などの販売増により業務用システム事業も増収増益。回線販売数は横ばいだったが、クラウドサービス、データセンターサービスの提供数が増加したICT事業も増収増益となった。


セグメント別業績(USEN Sector)

セグメント別業績(USEN Sector)

 USENは、店舗向けの音楽配信ビジネスを長く手がけ、全国に営業、メンテナンス人員を持つ。宇野氏は「これが他社の参入障壁になっており、私たちの強み。一方でU-NEXTはウェブからの会員獲得や販売店における営業に取り組んできた。これらを連携させることで、クロスセルグループのシナジー効果を創出していく」と今後を見据える。

 USEN-NEXT HOLDINGSでは、今後決算期を8月に統一。2018年8月期の業績予想は売上高が1080億円、営業利益は55億円、経常利益が45億円、当期純利益が17億円としており、コンシューマー向けMVNO事業、固定ブロードバンド回線事業、販売代理事業以外のすべての事業に関して増収の見通しだ。


グループ顧客資産の有効活用

2018年8月期連結業績予想

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