AppleはiPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone Xで、主力スマートフォンの最新モデルをワイヤレス充電に対応させた。しかもApple Watchで採用していた独自規格ではなく、業界標準規格の1つ「Qi」を採用した。
当初は5Wでの充電しか対応していなかったが、iOS 11.2のリリースにより、Appleのオンラインストアで販売されているBelkinとMophieのワイヤレス充電器で7.5Wに対応し、付属のACアダプタによる充電よりも「高速」であるとうたう。
しかしQiの規格上、15Wの急速充電をサポートしているが、Appleはこれに対応していないのが現状だ。ワイヤレス充電は、iPhoneがサポートする以前から、Androidスマートフォンが誇るiPhoneに対する優位性の1つだった。日本のNTTドコモではQi規格に対応するワイヤレス充電機能について「おくだけ充電」という名前を使ってきた。
米国では、iPhoneの対応以前から、ファーストフードやカフェなどで、ワイヤレス充電に対応するテーブルを設置するなど、顧客サービスの一環として活用されてきた。
たとえば米Starbucksでは、2014年から、Qiとは異なる規格であるPMAに準拠したワイヤレス充電器をテーブルに設置している。店舗ではPMAに対応するAndroidスマートフォンを置くだけで充電できるほか、非対応機種についても、ワイヤレス充電コイルをスマートフォンのポートに差し込んで充電できるコネクタを用意してきた。
2017年9月にiPhoneがPMAとは異なるQi規格をサポートすると分かったときに失望が走ることになる。既に多くの店舗に設置されていたワイヤレス充電テーブルで、iPhone Xを直接充電できないと思われたからだ。
しかしPMA規格で製品を開発するPowermatのCEO、Itao Sherman氏はSlashGearのインタビューで、「ソフトウェアアップデートでPMA規格の充電器をQiに対応させることができる」ことを明かした。
そもそもワイヤレス充電規格が立ち上がった背景は、電磁誘導方式という旧来から実用化されてきた非接触充電のメーカー間の互換性が薄い問題を解決することにあった。
そこで、充電器と充電するデバイス間でデータを送受信するが、その周波数がQiとPMAの両規格でほぼ共通であることから、ハードウェアレベルで両規格に互換性があるという。
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